2006年6月18日(日)「しんぶん赤旗」
ソマリア
「イスラム教法廷連合」勢力
要衝都市を制圧
米が対応に苦慮
内戦状態が続くソマリアで「イスラム教法廷連合」は、ソマリアの統治権回復を目指している暫定政府が求めている対話開始を拒否しました。イスラム法廷をアルカイダなどの国際テロ組織の温床だとして首都軍閥側にてこ入れしていた米国は対策に苦慮、関係国との協議を開始しました。
ナイロビからの報道によると、ソマリアの首都モガディシオに続いて同地北方百キロの要衝ジョウハルから軍閥でつくる「平和回復テロ対抗連合」(APRCT)を放逐したイスラム教法廷側は十六日、エチオピア国境の町バラドワイネも手中に収めようとしています。
イスラム教法廷は、一九九二年のバーレ大統領国外追放以降、無政府状態が続く中で、イスラム法による秩序を回復するために長老や実業家によって各地に設置されてきたもので、モガディシオなどの十四法廷が連合体「イスラム教法廷連合」をつくっています。
一方、周辺国七カ国でつくる政府間開発機関(IGAD)の仲介で二〇〇四年に軍閥、政治勢力が糾合して二〇〇四年末にケニアで成立した暫定政府は昨年、国内に拠点づくりを開始、現在、南西部のバイドアに本拠を置いていますが、各派の対立から統治回復は困難に直面しています。
モガディシオでの戦闘が激化したのは、イスラム教法廷側に首都の支配を脅かされたモガディシオの軍閥指導者がAPRCTを結成した今年二月以来です。この間の犠牲者は民間人を中心に約三百五十人に上っています。
首都の軍閥勢力は、以前から暫定政府主流のユスフ大統領やゲディ首相らとは対立関係にありました。ユスフ大統領は五月初め、米国がAPRCTへ資金援助を行っていると非難。ゲディ首相は今月初め、首都戦闘に関与した軍閥指導者四人を閣僚から解任しました。
隣国ケニアもこれに呼応、ナイロビに滞在していた関係者を逮捕し国外追放しました。IGADも十四日の閣僚理事会で「加盟国はケニアと同等の措置を取る」との声明を発表しています。
イスラム教法廷側は、暫定連邦政府との対話拒否の理由として、暫定政府側が平和維持軍受け入れに動いていることをあげています。イスラム法廷側は、過去の混乱は外国の介入によってもたらされたとして、いかなる外国軍の介入も拒否しています。
米国務省は十三日、イスラム教法廷連合から「米国と対話の道を開きたい」との書簡が届いていたことを公表するなど、姿勢修正をはかっています。しかし、米国が十五日、国連本部で開催した「ソマリア連絡グループ」会議には、英国など西欧諸国と欧州連合(EU)が招へいされましたが、アフリカからはタンザニアが参加しただけ、ソマリア国連代表部が求めていたAUなどの正式参加は見送られています。(夏目雅至)

