2006年6月16日(金)「しんぶん赤旗」

エレベーター死亡事故

異常 何度も区に指摘


 「エレベーターがおかしいと言っていたのに…」。東京都港区の公営マンション「シティハイツ竹芝」で、高校二年生の市川大輔さん(16)がシンドラー社製のエレベーターに挟まれて死亡した事故について、同マンションに住む男性(39)は、何度も異常を区に指摘したにもかかわらず、事故が起きたと語ります。


マンション住民

 地下二階、地上二十三階建ての同マンション(約二百五十人居住)には、エレベーターが二基。そのうちの一つで事故は起きました。マンションがつくられた当初から、男性は両方のエレベーターで異常音や振動が気になっていました。ドアが開かなかったり、床から十五センチほど下がって止まったことも。

 ことあるごとに男性は区に改善を要望。三月末にも区役所に立ち寄り、「エレベーターの不調をなんとかしてほしい」と担当者に話していました。その際、担当者は「トラブルが多くて、おはらいでもしたいぐらいだ」ともらしたといいます。

 区や港区住宅公社はトラブルを認識していました。一月に住民が区に調査を依頼して、公社がシ社に問い合わせていたことも分かっています。しかし、五カ月がたっても解決されないままでした。

 事故五日後の八日の住民説明会で、公社の担当者は「エレベーター会社に早く回答を出せといった。催促したが回答はなかった」と弁明。区が作成した説明会議事録には、住民の怒りの声が記されています。「そのときに動きさえあれば」

 男性はいいます。「ひどい話でしょう。住民はみんな危険にさらされていました。いつか事故が起こると話していたんです。たまたま市川さんが…」

 現在、エレベーターは二基とも動いていません。住民は階段を使って生活しています。男性は家族四人で高層階に住んでいます。事故後、片方のエレベーターが動いた時期がありましたが、男性はエレベーターに乗りませんでした。「原因が分かるまで、子どもをエレベーターに乗せたくない」

 住民のなかには、マンション以外のエレベーターも「こわくて乗れない」という人がいます。男性も「家族は精神的にも肉体的にも疲れている」といいます。

 マンションには体に障害を持つ人も多くいます。緊急のときにどうしたらいいのか、不安が募ります。男性は「わたしたちは普通の生活がしたいだけです。安全な生活ができる状況をつくってほしい」と話しました。


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