2006年6月16日(金)「しんぶん赤旗」

ILO報告

「職場の暴力」拡大

日本は1年間で62万件


 【パリ=浅田信幸】ジュネーブに本部がある国際労働機関(ILO)は十四日、職場における物理的、心理的暴力が全世界的にあらゆる職域に広がっているとする報告書を発表しました。

 「労働における暴力」と題された三百六十ページの報告書は、「これまで暴力行為を免れているとみなされていた教育、社会サービス、図書館、医療サービスなどの分野でも暴力が広がっている」と警告。暴力の形態は脅迫から集団的ないじめ、セクハラ、殺人にまでおよぶとしています。

 地域的な傾向として、経済的に発達した諸国のうち、日本で二〇〇二年四月から〇三年三月までの一年間に、訴えられた職場暴力が六十二万五千件に達していることが指摘されました。ドイツの年間職場暴力八十万件、英国の八十五万件などと並べて注目されています。

 また米国では、職場での死亡について、近年減少傾向にはあるものの殺人が三番目の原因になっているとしています。

 報告書は「多くの雇用の不安定化が職場に対する大きな圧力を生み出し、暴力がますます頻発するようになっている」と主要な原因を分析しています。

 一方、職場の暴力問題を重視すべきだという意識も高まり、効果的な予防策がとられている例もあると指摘。政府や企業、労働組合が暴力に対する「寛容ゼロ」の研修を成功裏にすすめている例や、特にフィンランド、スウェーデン、フランス、ベルギー、カナダ、ポーランド、アルゼンチンの名をあげて、職場における健康と安全にかんする法律に暴力問題を盛り込んでいることを高く評価しています。


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