2006年6月15日(木)「しんぶん赤旗」
海外派兵
国連決議なしで可能
「恒久法」自民素案 治安維持活動も
自民党は十四日、防衛政策検討小委員会(委員長・石破茂元防衛庁長官)で、自衛隊の海外派兵を地球規模でいつでも可能にする「恒久法」の概要をまとめました。自衛隊の活動には、米軍などへの補給・輸送といった後方支援活動のほか、現行のイラク・テロ特措法などでは実施できない治安維持活動や他国要員・施設の警護活動も追加。「暴動に遭遇したというような非常事態」での武器使用まで認める内容になっています。自民党は七月中に条文化し、党内論議を進める構えです。
自衛隊の活動としては▽国際平和協力活動▽人道復興支援活動▽停戦監視活動▽治安維持活動▽警護活動▽船舶検査活動▽後方支援活動―の七分野を列挙。このなかには「(派兵先で)軍事組織を設立するための助言、指導又は教育訓練」も含まれています。
武器使用では、「暴動」への対処のほか、「(自衛隊の)活動の目的を達するため特に必要があると認める相当の理由がある場合の武器使用が可能」とし、正当防衛以外にまで拡大しています。
活動地域については、「非国際的武力紛争地域」と規定。「国際的」武力紛争が起こっていなければどこでも派兵できるようになっています。米軍が、「テロ掃討」を口実に激しい戦闘を展開しているイラクなどでも活動可能になります。
派兵の要件に、「我が国として特に必要であると認める事態」をあげ、国連決議や紛争当事者の要請がなくても、政府の判断でいつでも可能にするものになっています。
政府・与党は、自衛隊の海外派兵のため、PKO(国連平和維持活動)法のほか、テロ・イラクの両特措法といった時限立法の制定を強行してきました。しかし、派兵のたびに法律をつくるのでは、米国の要求に迅速に応えられないとして、恒久法の検討を進めてきました。