2006年6月12日(月)「しんぶん赤旗」
米軍基地で土壌汚染
24カ所 米側は費用負担拒否
韓国
韓国メディアによると、米軍再編で韓国に返還される米軍基地のうち、二十四の基地で土壌汚染が確認されました。米軍は環境浄化費の負担を拒否していますが、韓国環境省は「汚染者負担」の原則を主張しています。
韓国メディアが伝える韓国国防省の資料によると、返還予定の六十二の米軍基地・演習場のうち二十七の環境調査が終了。このうち十五の基地で深刻な地下水汚染が明らかになりました。
汚染の詳細は公表されていませんが、土壌環境保全法が定める「人間の健康や財産、動植物の生育に支障を与える恐れのある土壌汚染」だといいます。
これに対し米軍側は、人体に危険をもたらすほどの汚染ではないとして、浄化作業の必要性を否定しているといいます。
米韓両国は五月二十五日の米韓安保政策構想(SPI)協議でこの問題を話し合いましたが、合意に至りませんでした。
ベル在韓米軍司令官は四月十日の講演で「韓国側が一方的な措置を取るなら米韓同盟が阻害される」と圧力をかけました。今月五日の講演では、「在韓米軍地位協定(SOFA)は、米軍に供与された土地の原状回復を義務付けていない」と主張。「(韓国政府は)SOFAの基準とは異なる新しい基地返還の基準を求めている」と、非難を繰り返しています。
韓国政府内では、米側の全額負担を主張する環境省に対し、国防省と外交通商省が妥協すべきだとの立場。大統領官邸の徐柱錫・統一安保政策首席は五日、ラジオ番組で「現在、浄化対象の基地と費用負担の基準、浄化方法について米側と包括的に論議中」だと語りました。
参与連帯、緑色連合など韓国の有力市民団体は、韓国政府が明確な方針を国民に公表すべきだと主張しています。緑色連合は「この一年間、米軍は韓国の主張する『汚染者負担の原則』を受け入れようとしなかった」と米軍を批判。政府が安易に妥協しないよう求めています。