2006年6月3日(土)「しんぶん赤旗」

「国会の形骸化」とは?


 〈問い〉 「国会の形骸化(けいがいか)」という言葉をみかけますが、何を指すのか、もうひとつよくわかりません。(高知・一読者)

 〈答え〉 国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関です(憲法第41条)。ですから、徹底した審議によって国民の声をできるだけ反映させることが不可欠です。ところが、その国会審議が、いまの通常国会をみても、多数議席を占める政権党の横暴でないがしろにされています。

 「命の沙汰(さた)も金次第」の社会をもたらす医療改悪法案は、衆院では実質1カ月の短期間で法案の根幹部分の説明も抜きに、自民、公明が採決を強行。参考人質疑や地方公聴会で「十分な審議を」の声が出ているにもかかわらず、国会会期末(6月18日)までにしゃにむに成立させようとしています。これでは、国会は唯一の立法機関というより“悪法製造機関”になってしまいます。

 国会審議の形骸化がいわれるようになったのは、とくに、小泉政権になってからです。

 小泉首相は、イラク派兵の問題では「どこが戦闘地域か私に聞かれてもわかるわけがない」と居直り、靖国神社参拝では「心の問題だ」とはぐらかすなど、国会の議論によって問題を深めていく姿勢を放棄してきました。このためマスメディアも「小泉政権になって、国会論議がずいぶん軽くなった」(「東京」4月16日社説)と評するほどです。

 「言葉の軽さ」だけではありません。行政府の長である首相が国民に説明すべき国政上の重要課題が山積しているにもかかわらず、首相が国会に出席し、審議する機会も減っています。

 その原因は、99年に首相と野党党首が1対1で議論(党首討論)する場として衆参両院に「国家基本政策委員会」が設置されたさい、自民党や民主党が首相の国会審議出席のルール=「申合せ」を合意したからです。

 「申合せ」では、それまで通常国会の場合、予算委員会では全閣僚出席の総括質疑が6日〜7日間程度開かれていたのが、首相出席は、各党一巡の「基本的質疑」(2日程度)に限ることになりました。予算委員会以外の各委員会への首相出席も「重要かつ広範な内容を有する議案」(重要広範議案)に限っています。その週の本会議や委員会に首相が出席したら党首討論は開かないという身勝手な内容にもなっています。日本共産党は、国会審議の形骸化になるとして「申合せ」に反対しました。

 国会の審議形骸化の根本には、小選挙区制や定数のひずみによって民意と国会議席に大きな乖離(かいり)がすすんだことや、野党第一党の民主党が国政の基本問題で自民党と同じ流れにあることがあります。(小)

 〔2006・6・3(土)〕


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