2006年6月3日(土)「しんぶん赤旗」

追及 米軍再編

グアムへの海兵隊移転

太平洋に新たな前進拠点


 日米両政府の在日米軍再編「最終報告」に盛り込まれた在沖縄米海兵隊のグアム移転計画−。これまでの日米両政府の説明などを通じ、グアムを米軍の先制攻撃戦争のため地球規模の出撃拠点として増強する狙いがより具体的に明らかになっています。(榎本好孝)


米戦略の重要部分

地図

 「海兵隊部隊の沖縄からグアムへの移転は、地球規模の米軍再編全体にとって本当に重要な部分であり、太平洋地域でのいわゆる前進拠点づくりだ」―。在日米軍再編の米側実務責任者のローレス国防副次官は五月二十三日、ロイター通信のインタビューでこう語りました。

 地球規模の米軍再編は、世界のどこへでも迅速に戦力を投入できる態勢づくりが狙いの一つ。ローレス氏の発言は、グアム移転がその重要な一環であることをあからさまに語ったものでした。

 日米両政府はすでに沖縄からの部隊移転のためとしてグアムに新しい海兵隊基地を建設することで合意(表)。具体的な建設候補地も示されています(図)。建設費用約百三億ドルのうち約六十一億ドル(約七千億円)を日本が負担することでも合意しています。

 日本共産党の赤嶺政賢衆院議員への防衛庁の説明でも、桟橋やヘリ発着場の建設は、部隊が他の地域に「前方展開」するのが目的だとしています。新基地には、沖縄以外からの海兵隊部隊の移転も計画されています。

 主眼は、「海兵隊の危機対応能力の強化」(昨年十月の在日米軍再編の日米合意)であり、日本政府のいう「沖縄の負担軽減」でないことは明らかです。

海・空軍と一体化

 海兵隊の新基地建設の狙いは、それだけではありません。グアムにあるアプラ海軍基地やアンダーセン空軍基地などと一体化し、海・空・海兵三軍の合同出撃拠点を造ろうとしています。

 ローレス氏は「グアムには、海兵隊だけでなく、空軍、海軍も合わせた主要なハブ(拠点)を造ろうとしている」(「朝日」三月十七日付)と述べています。

 アプラ海軍基地は二〇〇二年から、攻撃型原子力潜水艦の母港化が進められています。三千メートルを超える二本の滑走路を持つアンダーセン空軍基地は〇四年から、戦略爆撃機がローテーション(交代)配備されています。空中給油機や無人偵察機の常駐配備も進められようとしています。

 赤嶺議員への政府答弁書(五月十六日)は、海兵隊のグアム移転のために建設する道路が「アプラ海軍基地とアンダーセン空軍基地を結ぶ高規格道路」だと指摘。「(海兵隊の)グアムへの移転に伴ない両基地に同部隊の施設が整備される」ことを明らかにしています。

 新たに基地を造るばかりでなく、既存の基地内にも海兵隊施設を建設し、これらの基地を高規格道路で結んで一大軍事拠点を造る計画です。防衛庁は、日本共産党の笠井亮衆院議員の追及に、海兵隊の施設を空軍や海軍の部隊が使用することも認めています(五月三十一日、衆院外務委)。

自衛隊と融合狙う

 加えて重大なのは、自衛隊の動員が狙われていることです。

 米国防総省当局者は、グアムの北にある北マリアナ諸島に大規模な演習施設の建設を表明。グアムを含め、自衛隊など同盟国軍と合同演習をできるようにすると述べたと報じられています(五月十日のNHKニュース)。

 在日米大使館のメア安保部長は五月二十日、都内のシンポジウムで、在日米軍再編の狙いは「同盟能力の向上」であり、「米軍と自衛隊をもっと融合し、ある意味で統合する必要がある」と両軍の統合化を主張。その一環として「グアムの施設が完成すれば、自衛隊も使用し、共同訓練する」と強調しています。


日米が合意したグアムに
造る海兵隊の主な基地施設

○司令部庁舎
○ヘリ発着場
○桟橋(港湾施設)
○通信施設
○訓練支援施設
○整備・補給施設
○燃料・弾薬保管施設
○教場(海兵隊員の研修施設)
○隊舎
○基地内インフラ(電力、上下水道など)
○道路(高規格道路)
○家族住宅
○学校など生活関連施設


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp