2006年5月25日(木)「しんぶん赤旗」
イラン核問題
湾岸諸国、欧州と共同
平和解決への努力を支持
【カイロ=松本眞志】ドイツのシュタインマイヤー外相はイランの核問題解決のために二十日から六日間の予定で、湾岸協力会議加盟諸国(クウェート、アラブ首長国連邦、オマーン、サウジアラビア、バーレーン、カタール)を訪問中です。湾岸諸国は、この問題の解決のためにイランとの直接対話を求めるとともに、欧州側の交渉による解決のための努力を評価しています。
オマーンのアラウィ外務担当相は二十二日、同国の首都マスカットでのシュタインマイヤー独外相との会談後の記者会見で、「欧州諸国は、イランの核問題の行き詰まりを打開するために、湾岸諸国の支援を期待している」と語りました。さらにアラウィ氏は「湾岸諸国は、すべての関係国が同意できる平和的解決のためにドイツが持続的努力を行っていることに敬意を表し、この問題でドイツとの緊密な協議を続けることを強く支持する」と述べました。
同国のラシュディ情報相は「オマーンはイランと欧米諸国との対立を避けるために努力する。イランの核問題をめぐる国際的な対立がエスカレートすれば域内全体に悲惨な結果をもたらす」と指摘し、オマーンが米国とイランの直接対話を求めていると発言しました。
アラブ首長国連邦のアブドラ・ビン・ザイード外務担当国務相は、同日のシュタインマイヤー外相との首都アブダビでの会談後、湾岸協力会議が核問題での懸念を伝えるためにイランへの代表派遣を検討していると示唆。「イランは忍耐強く、われわれが核問題に恐れを抱いていることを理解すべきだ」と強調し、イランの原子炉がペルシャ湾岸の環境を破壊することへの湾岸諸国の懸念を訴えています。
クウェートのムハンマド外相も、二十一日の同独外相との会談後、「イランとの対話のための共同のイニシアチブの目的は、国際原子力機関(IAEA)とイランとの協力を促進することだ」と語りました。
シュタインマイヤー独外相は、これまでの訪問を通じて、湾岸各国とイランとの対話を促進することが可能であり適切であることを確信したとし、イランとの交渉の重要な時期に、域内の隣国が関与することは重要であると強調。「われわれは、速やかにイランとの合意に達するために共同の努力を強める好機を有している。交渉の席に戻ることを実際に希望しているというイラン指導部からの信頼できるメッセージが必要だ」と主張しました。

