2006年5月24日(水)「しんぶん赤旗」

原爆症訴訟判決で国控訴

“いつまで苦しめるのか”

被爆者ら100人座り込み


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(写真)厚労省に向かって抗議の唱和をする被爆者たち=23日、東京・霞が関

 原爆症認定集団訴訟の大阪地裁判決について厚生労働省が控訴してから一夜明けた二十三日、「控訴を取り下げよ!」「いつまで被爆者を苦しませるのか」の横断幕を手に、被爆者や支援者約百人が同省前で控訴に抗議し、控訴取り下げを求めて座り込みました。

 「悔しい」と、朝から集まってきた被爆者たち。東京、長崎、愛知で集団訴訟をおこしている原告・遺族らが次々とマイクを握りました。

 東京の原告だった姉を亡くした女性(71)は、怒りで朝食もとれなかったとのべ、「厚労省に負けたくない」と力を込めました。一カ月前に原告だった夫を亡くした東京の女性(71)は、「夫は六回の手術を受けましたが、『命が足らない』の言葉を残していってしまいました。遺志を引き継いでがんばる」と語りました。

 原爆訴訟支援近畿連絡会や全国弁護団連絡会、日本被団協、国公労連、日本原水協の代表らが訴えました。全労連の熊谷金道議長は、「国は、原爆症をめぐる裁判で七連敗し、大阪地裁で負け、認定行政を変えよという世論が盛り上がるなかで控訴した。これは国民への挑戦だ」とのべました。

 シンガー・ソングライターの横井久美子さんが「人間を返せ」と熱唱。厚労省に向かって、「交渉のテーブルにつけ」と怒りの唱和をしました。

広島県原水協・被団協など抗議

 広島県原水協(大森正信筆頭代表理事)は二十三日、厚生労働省が原爆症認定集団訴訟の大阪地裁判決を不服として控訴したことに対する抗議文を、小泉純一郎首相と川崎二郎厚生労働相に送りました。

 抗議文は、訴訟について「日本政府が行った不当な戦争行為によって招いた原爆投下による、未曽有の被害に起因している」と指摘。控訴の取り下げと、被爆者援護行政の抜本的な見直しを要求しています。

 また、広島県被団協(金子一士理事長)、原爆症の認定を求める集団訴訟を支援する広島県民会議(田村和之代表世話人)も同日、川崎厚労相へ抗議文を、それぞれ送りました。


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