2006年5月24日(水)「しんぶん赤旗」

主張

米軍再編巨額負担

8千万円住宅は異常の象徴だ


 政府は、米軍再編に伴う三兆円もの巨額負担を実施するため、特別措置法の制定など具体的な検討を加速しています。

 ブッシュ政権が進める米軍再編は、世界のどこにでもすばやく軍事介入できる軍事態勢をつくるのが目的です。「日本防衛」でもなければ沖縄の基地負担軽減のためでもありません。小泉政権が巨額の米軍再編経費の負担を進んで約束したことに、国民の怒りは広がっています。

小さく見せる

 日本が負担する米軍再編経費についてローレス米国防副次官は、グアム基地建設費と日本国内再編経費あわせて「控えめ」でも二百六十億ドルとのべました。日本円で約三兆円もの巨額負担を合意したことに国民の反発は当然です。

 額賀防衛庁長官は、三兆円発言を「アメリカ議会向け」といって打ち消そうとしましたが、日米交渉の事実上の実務責任者である守屋防衛庁事務次官が、「グアム移転経費を除き八年間で二兆円」とのべています(四月二十四日)。グアム基地建設経費負担六十・九億ドル(二〇〇六年度予算の換算レートで六千七百六十億円)とあわせれば、ローレス発言とほぼ合致します。

 額賀長官は、日本の負担があまりにも巨額であり、国民を説得できないため、数字を隠し、三兆円にならないといっているだけです。しかし、三兆円でなければいいというものではありません。アメリカの先制攻撃戦争に備えた軍事態勢づくりのために一円足りとも血税を投入するいわれはありません。

 政府は、グアム移転経費について、アメリカが要求した75%負担要求をはねかえして、59%にし、政府の財政支出はアメリカより少ないといいわけしています。しかし、もともとアメリカはグアム基地建設経費を二十九億ドル(米議会「海外基地見直し委員会」)と試算していました。財政支出の二十八億ドルはアメリカの当初分を満たし、さらに出資・融資でまかなうという三十二・九億ドルも上積みしたことになります。

 アメリカが当初計画を変えて、基地建設経費総額を百二・七億ドルにまで引き上げたのは、日米同盟の侵略的変質を当然視し、対米忠誠心あらわな小泉政権の態度をみてとったからです。日本国民よりアメリカの要求を優先する姿勢が、日本をさらに窮地に追い込んでいるのです。

 グアム建設経費負担の内容は、国内で実施している「米軍思いやり負担」以上です。三千五百人分の家族住宅は、一戸の建物だけで八千万円です。政府がいうコスト引き下げでも七千万円です。国内では三千万円程度ですから破格の扱いです。あまりにも日本国民をばかにした内容です。許せるわけはありません。

 もともと米海兵隊のグアム移転は日米同盟の世界に向けた侵略的変質の象徴です。ローレス国防副次官は「グアムは日米同盟の中核だ」とのべ、ラムズフェルド国防長官も「アジア太平洋の中核」といっています。米軍はグアムをアジア太平洋など地球的規模での“殴りこみ作戦”の足場にしようとしているのです。

 違法不当な先制攻撃戦争を助長するための米軍再編経費の負担を認めることはできません。

生活守るたたかい

 小泉「改革」は、社会保障費、教育費、生活予算全体を削り込み、国民の苦しみを増大させています。巨額の米軍再編経費の負担はその国民にさらに追い打ちをかけます。反対は生活防衛にもつながります。


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