2006年5月20日(土)「しんぶん赤旗」
社会リポート
米軍厚木基地・離着陸訓練
爆音、より激烈に
4月以降 市民の苦情889件
米空母艦載機がふりまく爆音に住民がおびえています。連日、艦載機による激しい離着陸訓練が続く神奈川県の米海軍厚木基地。周辺自治体には、苦情や痛切な訴えが寄せられています。(山本眞直)
「米軍機による騒音がひどい。孫を寝かしつけることができない。戦後六十年がたち平和な時代になったのに米軍機が日本の上空をわがもの顔に爆音をとどろかせて飛行しているのは納得がいかない」
「うるさくてノイローゼになりそうだ」「騒音がひどい。引っ越し費用を出してほしい。市民税を払いたくない」
東京・町田市役所には、住民からのこうした声が多数寄せられています。
「四月中から騒音被害はひどい。明らかに普段よりも激しくなり、相模原市さんと一緒に厚木基地司令官に抗議し、軽減を訴えました」(町田市企画調整課)
米海軍は、空母が出港する前に義務付けている陸上滑走路を空母の甲板に見たてての夜間離着陸訓練(NLP)を二十二日から実施する予定です。米海軍の通告によると、同訓練は硫黄島のほか厚木基地、岩国基地(山口県)、横田基地(東京都)、三沢基地(青森県)で実施します。
しかし厚木基地ではすでに四月中から事前訓練ともとれる離着陸訓練を開始。
四月二十四日から五月十八日まで二十五日間で、神奈川県や大和市、綾瀬市、藤沢市、相模原市、東京・町田市など周辺自治体に寄せられた爆音被害での住民からの苦情の件数は、八百八十九件にも上ります。
同期間、騒音測定値は基地北側一キロ地点で電車通過時の線路脇の音に相当するという一〇〇デシベル以上が五百四十八回に達しています。七〇デシベル(一メートル以内の電話音に相当)を超えた回数は二千四百七十五回です。NLP実施の通告のあった五月九日には、基地北側一キロの地点で、一〇〇デシベルを上回る騒音を四十六回も記録しました。
厚木基地周辺の自治体代表が合同で厚木基地へ中止要請をしたとき、ある自治体関係者は住民から寄せられた痛切な思いをこう伝えました。
「『あまりの爆音にもうがまんできない。司令部の前で死んで抗議したい』という電話でした。米軍も日本政府もこの周辺住民の必死の思いを真剣に受けとめてほしい」
司令官は「できるかぎりのことをしたい」と語りましたが、実際の回答は、飛行訓練の拡大という事実でした。
日本共産党の大和市議団は十八日、東急田園都市線中央林間駅前の街頭宣伝でこう訴えました。
「米空母艦載機によるNLPとすべての訓練の中止とともに、住民の願いは、艦載機部隊の岩国基地移転による爆音被害のたらいまわしではありません。横須賀の空母母港化の返上であり、米軍基地の撤去による平和で静かな街づくりではないでしょうか」