2006年5月20日(土)「しんぶん赤旗」

「今だからこそ百合子」

没後55年 文学を語る集い


 作家・宮本百合子の没後五十五年を記念して「百合子の文学を語る集い」(日本民主主義文学会主催)が十九日夜、東京・四谷区民ホールで開かれ、会場いっぱいの四百八十人が参加しました。

 森与志男会長のあいさつの後、作家の森まゆみさん(『谷中・根津・千駄木』編集人)が「駒込林町の百合子さん」と題して講演しました。

 百合子ゆかりの地で生まれた森さんは、その生涯にふれ、地元の人たちの目に映った百合子像を紹介。「もんぺ姿で巣鴨まで差し入れに面会にゆく百合子さんの姿を覚えている人もいるし、ふろに入れてもらった近所の人もいる。いま、俗情と結託したようなメディアがあるなかで、私の敬愛する百合子のように、よりよく生きるためにはどうしたらいいかを常に考えていた先輩が近くに生きていたことに励まされて、その日記をひもといていきたい」と結び、大きな拍手を受けました。

 「戦禍のなかの百合子」と題して講演した文芸評論家の澤田章子さんは、「貧しき人々の群」で百合子が、自然主義文学の限界を打ち破って登場してきたことを紹介。戦前、戦後の生き方にふれ、いまさら百合子ではなく、「今だからこそ百合子の文学をかみしめたい」と強調しました。

 講演に先立ち、作家の浅尾大輔さんが、若い世代でつくる「百合子を読む会」の活動を紹介。女優の有馬理恵さんが、百合子の小説「播州平野」の文章を力強く朗読して聴衆を魅了しました。


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