2006年5月15日(月)「しんぶん赤旗」

男女賃金格差が拡大

厚労省調査 大企業ほど大きく


 厚生労働省が発表した二〇〇五年版「働く女性の実情」によると、縮小傾向にあった男女賃金格差が拡大していることが明らかになりました。

女性雇用者は数率とも最高

 〇五年の女性雇用者数は前年から二十六万人増えて、二千二百二十九万人となりました。全雇用者数に占める割合は41・3%で、女性雇用者の数、比率とも過去最高となっています。

 均等法の施行から今年で二十年ですが、男女格差の改善は依然としてすすんでいません。これまで縮小傾向にあった労働者の男女賃金格差が、〇五年は拡大しました。

 男性の賃金(所定内給与)が前年比で1・2%増加した一方、女性は1・4%減少、その結果、男女の賃金格差は前年から1・7ポイント拡大し、65・9%になりました。(グラフ)

 しかも大企業ほど格差は大きく、千人以上の規模では62・6%です。

 男女格差の広がりは、統計資料にもあらわれています。女性の管理職はここ十年、実数で減少か横ばい、比率では〇三年の9・9%をピークに、〇五年は9・6%です。この数年、低下傾向がみられます。

 不安定雇用も引き続き増加しました。週三十五時間未満の女性パート労働者は、この一年で約二十五万人増え、八百八十二万人に。パート、派遣などをあわせた非正規雇用は女性雇用者の52・5%にのぼり、正社員は47・5%に低下しました。

 この十年でみると、財界による不安定雇用の活用戦略のもとで、女性の非正規雇用が三百八十万人増え、正社員は百四十万人減っています。女性パートの時間給は九百四十二円で、前年から三十八円増加しましたが、一時金などの支給額は前年比八千円減の年間三万三千七百円。ピークの九二年(九万九千円)から十三年連続減少し、三分の一に低下しました。

 パートも含む常用労働者の現金給与総額では、女性は男性の49・5%、半分にも届きません。雇用の男女平等のうえで、不安定雇用の労働条件の改善、格差是正は急務です。

中高年パワー着目というが

 今年の「特集」は、中高年女性の就労実態と意識の分析です。

 「特集」は、四十五歳以上の中高年女性に焦点をあてています。現在では中高年女性が女性雇用者の四割を占め、この十五年間の働く女性の増加は、もっぱら中高年女性就業者の増加によると分析しています。

 雇用者が増える一方、家族従業者は減少しました。

 四十五歳以上の女性雇用者のうち、正社員は四割で、多くはパートです。管理職は1・2%にすぎません。

 他方、同年代の男性はほとんどが正社員で、管理職は7・9%と、大きな格差があります。

 働き続けたいという希望が多い一方で、介護を理由とする離職者の八割が女性であるなど、子育て後も引き続き仕事と家庭の両立で苦労する女性の姿が示されています。

 「実情」は、中高年女性の「パワーに着目する必要」があると強調しますが、その能力と意欲を生かせる雇用環境の整備、労働条件や待遇の改善が急がれます。

グラフ

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