2006年5月15日(月)「しんぶん赤旗」

NHK「日曜討論」

小池政策委員長の発言


 日本共産党の小池晃政策委員長は十四日、NHK番組「日曜討論」に出演し、在日米軍再編、教育基本法改悪、共謀罪の問題で自民、民主、公明、社民各党の政策担当者と議論しました。司会は影山日出夫解説委員。


米軍再編経費

増税に結びつく危険性

 在日米軍再編の問題では、三兆円ともいわれる日本側負担額の総額さえ明らかにしない政府の姿勢について、自民党の甘利明政調会長代理は「これから積み上げなくてはならない」と当然視。公明党の山口那津男政調会長代理は「(政府の説明責任は)まだ十分ではない」としつつも、「具体的な数字はこれからだ」と擁護しました。

 小池氏は「順番が逆だ。先にアメリカと合意し、結果だけ決めて、それを押しつける。今回の米軍再編全体が、こういうやり方だ」と批判。在沖縄海兵隊をグアムに移転する経費の日本側負担を「沖縄の負担軽減になる」と合理化する政府・与党の主張について、実戦部隊はそのまま沖縄に残ることや、グアムを戦略拠点にするという米側の要請が先にあったことを指摘し、「完全なまやかしだ。日本から一円も出す責任も道理もないお金だ」と述べました。

 また医療「改革」、介護保険料値上げ、定率減税廃止の三年分が約三兆円に匹敵することをあげ、「大変な負担が国民に押しつけられる。米軍再編に使うお金と他のお金の色が違うわけではない。『米軍再編のための増税はしない』といっても、増税の議論に結びつく危険は大きい」と批判しました。

 民主党の松本剛明政調会長は、在沖縄海兵隊のグアム移転費の負担には「現段階では全く納得できない」と批判。しかし、国内の再編経費については「国民に説明して、やっていくべきだ」と述べるにとどまりました。

教育基本法改悪

管理教育をひどくする

 教育基本法改悪で、「愛国心」を「教育の目標」に盛り込もうとしていることについて小池氏は「愛国心は大事だが、『教育の目標』として上から押しつけることは大きな誤りだ」と批判。

 今回の改悪では、教育はときの政府でなく国民全体に直接責任を持つことを定めた現行基本法の第一〇条、教師は「全体の奉仕者」であることを定めた第六条を削除しようとしていることをあげ、「政府が思うがままに、国民、子どもに対して教育内容を押しつける仕組みをつくることになる」と述べました。

 また政府は「内心の自由は守る」と説明していたのに、教育の現場では「日の丸」「君が代」の押しつけがまかり通っていることも示し、「こんな教育基本法ができれば『あなたの愛国心は六十五点』だとか『八十点』だと押しつける仕組みがつくられる。まさに教育を悪くする、管理教育をひどくするものだ」と批判しました。

 司会者から「押しつけになるのでは」と問われた甘利氏は「ならない」と主張。山口氏は「押しつけととられないように、客観性を重視しながら丁寧にやっていく」と弁明しました。

 小池氏は「なぜ今教育基本法を変えるのか、与党から納得のいく説明がない」と指摘。安倍晋三官房長官は“ライブドア事件が起こったのは教育が悪い”、武部勤自民党幹事長は“耐震偽装事件が起きたのも教育が悪い”といって教育基本法改悪を主張していることをあげ「自分たちの政治がつくった弊害を教育基本法のせいにするのは、とんでもない話だ。一番教育現場を荒らしているのは教育基本法に逆行する競争・管理教育の押しつけだ。こんな改悪をしたらますます教育現場は混乱する」と述べました。

 甘利氏は「民主党からも共通する問題意識の新法も提出されるということであるから、今国会で成立させたい」と表明。山口氏も「(今国会の会期は)まだ二十日あるから、しっかりやるべきだ」と述べました。

 小池氏は「憲法に準じる大事な法案を、わずか一カ月でやるとはとんでもない。しかも、与党は三年間密室協議しながら、国会に出したとたん一カ月で通す―。こんなやり方こそ、教育的に悪い」と指摘しました。

共謀罪

市民運動弾圧の恐れも

 犯罪の実行がなくても相談し合意したとみなすだけで処罰できる共謀罪の新設について与党側は、国際的な組織犯罪を防止するための国際連合条約に日本が加入するための「国内法整備だ」(甘利氏)「条約では、国内法をつくることが義務になっている」(山口氏)と繰り返しました。

 小池氏は「国際テロには反対だから、条約には賛成した。しかし、その審議のときも、共謀罪を国内でつくることには反対だと表明した」と強調。同条約にも、自国の国内法の基本原則に従うことを認める規定があることもあげ、「条約があるからといって、国内法の体系を曲げてまで、法律をつくる必要はない。市民運動を弾圧できる法律をつくりたいというのがありながら、条約にことよせて、こういうことをやるのはとんでもない話だ」と批判しました。

 また与党側は「修正」で「組織的犯罪集団」という“主体”や「準備行為」という“行為”で対象を絞っていると主張。小池氏は「『組織的犯罪集団』といっても『共同の目的で犯罪を実行する団体』という定義は変わっていない。例えば漁協が諫早干拓に反対し座り込みしようといったら共謀罪が適用できることになる。『準備行為』に絞ったというが『その他の行為』も含まれていて、いくらでも拡大解釈できる」と批判しました。


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