2006年5月10日(水)「しんぶん赤旗」

米軍基地拡張計画

平和的運動で撤回を

韓国・平澤 農民・市民団体が方針


 ソウルからの報道によると、韓国の京畿道・平澤市の米軍基地拡張に反対している農民と市民団体の組織「平澤(ピョンテク)米軍基地拡張阻止・汎国民対策委員会」は八日、緊急会議を開き、幅広い国民的な連帯と平和的な運動で基地拡張を撤回させていくことを決めました。四、五日の抗議デモが警察・軍部隊と衝突し、六百人を超える拘束者が出たことを受けたものです。


 在韓米軍の再編で基地が拡張される平澤では、土地収用に反対する農民が支援者とともに拡張予定地で農作業を続けて抵抗しています。これに対し国防省は、拡張予定地の農地を軍事施設保護区域に指定、軍工兵部隊を動員し鉄条網で囲った上、住民運動の拠点となった廃校を取り壊すといった実力行使を強行しています。

 検察は八日、六百二十四人の拘束者のうち六十人に対する逮捕令状を裁判所に請求しましたが、七割以上の四十四人に対する請求が棄却されました。裁判所が「逃走や証拠隠滅の恐れがない単純加担者の逮捕は必要ない」として、検察の強硬な方針に一定の歯止めをかけた形です。

 基地拡張反対闘争では、検察と国防省の強硬姿勢が目立っています。尹光雄国防相は八日の記者会見で、基地拡張予定地内での抗議行動に対しては、民間人でも軍刑法を適用し軍法会議にかけると発言し、波紋を広げています。

 一連の事態を受け、韓明淑首相は九日の閣議で、「移転計画を支障なく進めると同時に、立ち退く住民には開かれた姿勢で最後まで対話するよう努力してほしい」と述べ、強硬一本やりの対処を避けるよう関係閣僚に求めました。

 「汎国民対策委員会」は強硬方針の責任を問い、国防相と警察庁長官の解任を求めています。八日の緊急会議では、「国防省や警察は、『逮捕令状請求者に住民は含まれず、すべて外部の人物だ』と宣伝し、運動の分裂を図っている」と警戒、▽各界・各層への参加呼び掛け▽世論への働きかけの強化▽工兵部隊の撤収▽問題解決のための社会的協議機構の設立―などを決めました。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp