2006年5月9日(火)「しんぶん赤旗」

タイ、やり直し選へ

憲法裁 総選挙無効と裁定


 【ハノイ=鈴木勝比古】タイ憲法裁判所は八日、主要野党がボイコットした四月二日の下院総選挙を無効とし、選挙をやり直すとの裁定を下しました。やり直し総選挙には主要野党も参加すると言明しており、六月九日の国王在位六十周年式典以降に行われることになります。


来月9日以降に実施

 憲法裁は「総選挙は憲法違反」とする裁定を八対六、「新総選挙実施」の裁定を九対五で決めました。八日午前の憲法裁審理後に憲法裁のパイポーン事務局長が明らかにしました。同氏によると、憲法裁と選挙委員会がやり直し選挙の日取りを話し合います。

 憲法裁の審理では、下院解散から投票日までの期間が短く、投票の秘密が十分に守られなかったことを理由に選挙を違憲としました。

 タイ愛国党のポンテープ副党首は八日、憲法裁の裁定が出た後のテレビ番組で「憲法裁のいかなる裁定も受け入れる。タクシン党首が選挙に参加するかどうかを決める」と語りました。

 先の総選挙をボイコットした民主党、国民党、大衆党の三党も新たな選挙には参加する意向です。民主党のステープ書記長は八日、「民主党は無条件で総選挙に参加する」と言明しました。

 しかし、先に辞任を表明したタクシン首相の復帰をめざす与党と復帰阻止を主張する野党、市民団体との対立が依然残されています。反タクシン市民団体・民主市民同盟は現行憲法の改定が終わるまでタクシン氏が政治活動を行わないよう求めています。

 四月二日の総選挙は主要野党ボイコットのまま実施され、与党・タイ愛国党が圧勝しましたが、四月二十三日の再選挙後も十四の空白選挙区が残りました。プミポン国王が同月二十五日、「一党だけによる選挙は民主的ではない」と述べ、タイの司法機関に政治的「混乱」の打開策を見いだすよう指示。憲法裁は今月一日、総選挙を憲法違反とする大学教授らの訴えを受理していました。


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