2006年5月8日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

島国日本 離島にくらす

生活守るため共産党もがんばってます


 島国・日本は七千近い大小の島々からなります。日本共産党はその島々で、島民の思いに心を寄せ、暮らしや福祉、教育の充実に努めています。島の多さで全国一位、九百七十一島を数える長崎県は五島市と、それに次ぐ六百五島の鹿児島県は与論町から、島の“香り”とともに共産党の活動を報告します。


長崎・五島市 いにしえの貿易の街

農漁業で地産地消向上

地図

 長崎県五島市は、一昨年八月に一市五町が合併して誕生した人口四万五千九百四十一人の市です。九州の最西端に位置し、長崎港から西方海上に約百キロの、五島列島南西部の十一の有人島と五十二の無人島で構成されています。

 昨年二月の住民投票による議会解散後の初めての選挙では、定数が九十一から二十六に大幅に削減されるなかで、日本共産党は三人が当選できました。議員団は毎年市民アンケートを実施し、住民の声をつかむ努力を続けて十五年になり、また、議会閉会後は年四回、全世帯に市政報告の民報を配布しています。

 昨年十月に実施した市民アンケートでは、四百八十六通の回答が寄せられ、「周辺地域が切り捨てられ、過疎化が進むのではないか」と心配する意見や、倒産やリストラによる失業、賃金引き下げなどから国保加入世帯の生活が大変苦しくなってきたことが浮き彫りになりました。

 市で特に力を入れて取り組んでもらいたいことにも、「国保税引き下げ」が一番多く、厚生労働省も失業者への減免を奨励しているように、市も減免基準をつくって利用できる制度に充実せよと議会で強く要望しています。

 また、今年度から一部地域の都市計画税(千四百二十万円)が廃止されました。これは、「都市計画事業もないのに、なぜ都市計画税を納めなければならないのか」などの声が四年前の市民アンケートに寄せられたことがきっかけで、この間、他会派の議員とも共同し、地域懇談会や署名活動を取り組んできたことが実りました。

 市は海岸線の大部分が西海国立公園に指定され、豊かな自然を有し、気候は対馬海流の影響を受けて年間平均一六度と温暖です。ツバキに恵まれ、なかでも赤地に白の覆輪のある地元原産の「玉之浦椿(つばき)」は世界的に有名な品種です。

 産業は水稲や五島牛の飼育・葉タバコなどの農業、沿岸漁業が中心です。島の自然と地域の資源を生かした地産地消の取り組みでは、合併前に中学校給食の実現に努力し、食材は45%地元産利用まで向上してきました。

 観光では、平安時代には海外貿易の拠点として栄え、遣唐使船が最後に寄港した地で史跡が多く、江戸時代にはキリスト教徒が新天地を求めて移住してきた地でもあります。県内百三十七の教会とともに、海辺にたたずむ二十の教会を世界遺産に登録する運動が広がっています。

 半面、海岸には中国や台湾からの大量のごみがボランティア活動では対応できないほど漂着するために景観が損なわれており、毎年、政府との直接交渉では、党の国会議員を通して回収費用の補助を求めています。

 これから夏に向けて、水泳・自転車・マラソンのアイアンマンジャパン大会(二十八日)や日本列島で最後に沈む夕日を背景に走る夕やけマラソン大会(八月二十六日)などのイベントがあり、全国から訪れる多くの人のために、島では「もてなし」の質を向上させる態勢づくりが進められています。

(五島市議 橋本憲治)


 【五島市への交通、案内】

 <> 九州商船(長崎港から)095(822)9153

 <飛行機> オリエンタルエアブリッジ(長崎空港から)0120(848)909、全日空(福岡空港から)0120(029)222

 <案内窓口> 五島市観光協会0959(72)2963


鹿児島・与論町 ウミガメの島

リゾート事業を縮小

地図

 与論島は鹿児島市から南へ五百九十キロ、鹿児島県の最南端に浮かぶ周囲二十三・七キロの隆起サンゴ礁の島です。エンゼルフィッシュの形をした島の周りをバリアリーフ(保礁)が包み込み、白い砂浜とリーフの間にはイノーと呼ばれる礁湖があり、白(砂地)と黒(サンゴ)と淡いグリーンに輝いて幻想的な空間をつくりだしています。島の東には、星の形をした幻のビーチ・百合ケ浜が干潮になると出現します。

 リーフとイノーは、台風や津波などから島を守る天然の防波堤の役割を果たしているだけではなく、魚や海藻をはじめ多種多様の生物を宿す生命のゆりかごです。島の人々の暮らしにおいては、癒やしの空間であったり、子どもの遊びや学びの空間であったり、そして、四季を通して海の幸などの恵みをもたらす所です。

 この豊かな海に突然、観光産業の浮揚を目的に、国と県と町の共同で与論港コースタルリゾート事業が進められました。総事業費九十二億円、与論町の年間予算の45%、十九億円余を地元負担に義務づける計画は、民間団体の「全国ムダな公共工事百選」でも取り上げられました。日本共産党の赤嶺政賢衆院議員の国会での追及や党と住民の反対運動で事業計画の大幅な縮小が行われ、国際的にも数が少なくなったといわれるウミガメの大切な産卵場所の砂浜を守ることができました。

 与論町は、二〇〇三年に沖永良部島二町との外海離島の合併問題が起き、合併の是非を問う住民投票の結果、一島一町を選択。いま、オンリーワンの島づくりを進めています。

 島には、毎年台風が襲来することから、台風や干ばつなどの気象条件に強いサトウキビの栽培や、気象にさほど左右されない肉用牛の飼育を基幹とした、野菜(サトイモ、インゲンなど)、花きなどの複合型農業が営まれています。ここ数年は、Uターンして肉用牛の飼育を中心とした複合経営に就農する若者が増えています。

 人口五千六百十七人の島はつねに和と協調性を重んじます。島の民謡に―

 与論(ユンヌ)ちゅうる島や小(いに)くさやあしが、鍋ぬ底中に五穀ぬたまゆん

 (与論という島は小さいけれど鍋の底に五穀がたまる、の意味)

 島では昔、チフスやコレラ、天然痘などの病がはやったり大飢饉(ききん)に見舞われたりして、島民は島外への移住を余儀なくされました。つねに困難のなかでたたかってきた島は、“誠の島”の伝統を守り、鍋の底中に“豊かな人情”という島の宝をはぐくんできました。

 その半面、政治や社会問題で「狭い島で人間関係のしがらみのなかで声を出すことがなかなかできません」という側面もありますが、「言えないことを共産党に堂々とはっきり言ってもらえて感謝しています」との声も多々あります。日本共産党与論支部は、住民参加の町づくりにとりくんでいます。

(党与論支部長 川村武俊)


【与論島への交通、案内】

 <> マルエーフェリー(旧大島運輸)099(226)4141鹿児島、098(861)1886沖縄、マリックスライン099(225)1551鹿児島、098(862)8774沖縄

 <飛行機> 日本エアコミューター(鹿児島発)0120(25)5971、琉球エアコミューター(沖縄発)0120(25)5971

 <案内窓口> 与論町商工観光課0997(97)3111、ヨロン島観光協会0997(97)5111


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