2006年5月3日(水)「しんぶん赤旗」

落語で平和憲法考える

“禁演”にしちゃいけません

出前公演人気


 「落語も聞けないような世の中にしちゃいけません」―。風刺の利いた軽妙な語り。会場を笑いの渦に巻き込みながら、落語をとおして平和憲法の大切さを訴える出前公演が、各地の「九条の会」などで人気を呼んでいます。


 「禁演」落語をご存じでしょうか―。

 たばこを題材にした「禁煙」落語ではありません。第二次大戦中、当時の講談落語協会は国家の圧力をうけて、廓噺(くるわばなし)など時局に不相応な五十三の演目を「禁演」として封印。東京浅草の本法寺に「はなし塚」として碑を建て、台本を埋めたのです。戦後、禁演落語は解禁され、かわりに戦時中の軍国主義的な演目が埋められたといいます。

 禁演落語を演じることで、平和憲法の大切さを訴えているのは立川談之助師匠です。

「一役買えたら」

 三月末、福島県いわき市の革新懇話会の集会。禁演落語の一つ「目ぐすり」を演じました。

 目を患った職人が、医者から目薬をもらってきますが、字が読めないために処方が分からず、女房の尻に薬をつけるというこっけい話です。

 「こんなものを禁止して戦争に勝とうってんだからばかばかしい話です。落語が自由に聞ける世の中が平和ってことですよね」と話す談之助師匠。「痛みを伴う構造改革なんてバカでもできる」と小泉政治を痛快に批判します。

 「最近の時勢をみていると時代がどんどん右へ向かっているようで心配です。平和憲法を守る運動に一役買えたらと思います。呼ばれればどこでも行きますよ」

演目は東京大空襲

 四月二十二日、東京都港区の「みなと九条の会」の一周年を記念する集会。高座にあがるのは柳家さん八師匠です。

 演目は東京大空襲。

 「一九四五年三月十日、二時間ばかりの間に十一万人もの人間が死んだ東京大空襲を忘れちゃいけません」

 猛火の中を逃げまどう親子の姿は、九死に一生を得た自らの体験をベースにしたもの。迫力ある情景描写。登場人物は細やかに描かれ、まるで人情話のようでもあります。会場はしーんと静まり返りました。

 「とにかく日本は戦後六十年以上、戦争も紛争もない。これは憲法九条のおかげじゃないですか。戦争体験は風化させちゃいけません」

 会場に大きな共感の拍手をよびました。

芸人さんを派遣

 草の根の平和運動と芸人さんの架け橋として運動しているのが「民族芸能を守る会」です。現在会員は約二百人。芸人さんの出演料の一部、および一般会員の会費や寄付で運営し、定期的に例会を開いたり、芸人さんを派遣しています。社会に向けて積極的に発言しようというのも主旨のひとつ。新潟県中越大震災では被災者仮設住宅で寄席を開き、被災者を励ましました。

 自らも中国東北部(旧満州)から引き揚げた体験をもつ同会の茨木?事務局長は、「憲法改悪反対集会とかっていうと、ちょっと普通の人は敷居が高いかも。芸人さんが出ることで、運動の輪が広がればいいですね。運動への芸人応援団みたいな動きができればいいですね」と話しています。

 連絡先は「民族芸能を守る会」(東京都中央区)。電話・ファクス共通=03(3541)7094。


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