2006年5月3日(水)「しんぶん赤旗」
「同盟の永続」が目的
負担軽減はごまかし
米軍再編 最終報告
「沖縄の負担軽減のため、国民で負担を分かち合うことが必要だ」(麻生太郎外相)
「(在沖縄海兵隊のグアム移転で)沖縄の負担軽減を図る」(額賀福志郎防衛庁長官)
一日の日米安保協議委員会(2プラス2)で決定した在日米軍再編「最終報告」。その意義について、日本の二閣僚は共同会見で「沖縄の負担軽減」を強調しました。
米側は言及せず
「最終報告」の半分近くは沖縄関連の項目が占めます。三兆円といわれる再編経費の日本負担分も、▽海兵隊のグアム移転▽キャンプ・シュワブへの海兵隊新基地建設▽沖縄本島南部の基地の県内移設――など沖縄関連が多くを占めると見られています。
日本政府は「沖縄の負担軽減」を錦の御旗にして、三兆円=国民一人あたり二・五万円もの負担を正当化しようとしているのです。
ところが、ラムズフェルド米国防長官は同じ会見で、「負担軽減」には一切言及せず、「米軍の前方展開に基づく同盟の永続的な能力を確保すること」が「最終報告」の目的だと明言しました。軍事同盟が過去の遺物となりつつあるアジアの平和の流れに逆らい、米軍駐留と日米軍事同盟を永続化しようという考えです。
グアムに広げる
同長官は、日本側が「沖縄の負担軽減策」として海兵隊を移転させるグアムが「同盟の重要な部分になる」と述べました。
沖縄からグアムに移転するのは、第三海兵遠征軍の指揮部隊をはじめ、いずれも司令部です。手足となる実戦部隊はほぼ、沖縄に残留します。司令部部隊はいつでも沖縄に戻れるよう、高速輸送艦やCH53D大型ヘリ部隊も確保します。沖縄・グアムは一体不可分という運用構想です。
しかも、実戦部隊はV字形滑走路の新基地が建設されるキャンプ・シュワブなど沖縄本島北部に兵力を集中させ、機動性を高める計画です。
沖縄の「負担軽減」どころか、海兵隊の能力をいっそう強化するものです。さらに日米同盟の基盤をグアムにまで広げ、「同盟の重要部分」であるとして、日本にも費用負担を負わせようというのです。
額賀長官も、2プラス2で「同盟関係は二十一世紀の前半において不可欠」であり、「十年近くかかる」(同長官)というグアム移転を進めるためにも、新しいガイドライン(日米軍事協力の指針)の策定が必要と提起しました。
日本政府は、(1)抑止力の維持(2)地元軽減の負担――を在日米軍再編の基本方針としてきました。しかし、それはごまかしであり、米軍の地球規模の殴り込み能力の強化が再編の狙いであることが、あらためて浮きぼりになりました。(竹下 岳)