2006年5月1日(月)「しんぶん赤旗」
米軍再編
日米政府きょう「最終報告」
多数の地元は反対
日米両政府は一日に外交・軍事担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)をワシントンで開き、在日米軍再編計画の「最終報告」を取りまとめようとしています。しかし、再編の対象になっている米軍基地や自衛隊基地の周辺自治体、住民の圧倒的多数は計画に強く反対しています。
政府は「最終報告」の取りまとめを前にして、関係自治体への説得を強めました。四月二十八日には、額賀福志郎防衛庁長官がキャンプ座間(神奈川県座間、相模原両市)への米陸軍新司令部などの創設計画をめぐり松沢成文県知事と会談。北原巌男防衛施設庁長官は米空母艦載機部隊の岩国基地(山口県岩国市)への移転計画などについて井原勝介市長と会い、受け入れを求めました。
しかし松沢知事、井原市長とも改めて反対を表明。再編計画反対を掲げ四月の市長選に勝利した井原市長は「先の住民投票(三月)で明確なノーという意思が示されており容認できない」ときっぱり述べました。
全会一致で反対
また同日には、キャンプ・シュワブ沿岸部(沖縄県名護市)にV字形滑走路を持った米海兵隊の新基地を建設する計画で、同市に隣接する宜野座村の東肇村長が防衛庁と基本合意したことに対し、村議会が全会一致で計画反対の決議と意見書を可決。「のどかで緑豊かな宜野座村に、騒音や墜落事故などの基地被害の不安を、子々孫々まで残すことは許されない」(同決議)と訴えました。
鹿児島県でも、伊藤祐一郎知事が同日、海上自衛隊鹿屋基地(同県鹿屋市)での米海兵隊空中給油機部隊の訓練計画について「鹿屋市が反対しているので県も反対だ」と表明しました。
政府の説得不発
政府・与党はこれまで総力を挙げて関係自治体に再編計画の受け入れを迫ってきました。しかし、防衛施設庁が関係自治体としている五十五自治体のうち、同庁が「容認表明」「基本合意」したとしているのは十三自治体(四月二十七日現在)にすぎず、四分の一にもなりません。
しかもこの十三自治体には▽横田基地(東京都)への航空自衛隊航空総隊司令部の移転計画は認めたものの、同基地の軍民共用化には反対(昭島市、瑞穂町)▽キャンプ・シュワブ沿岸部への新基地建設計画で基本合意したものの、シュワブに隣接するキャンプ・ハンセンの陸上自衛隊との共同使用化には反対(金武町、恩納村など)―といった自治体も含まれています。
前述のように、村長が基本合意したものの、村議会は全会一致で反対している宜野座村も含まれています。
関係するすべての再編計画を容認したところは数自治体と一ケタにすぎません。
防衛施設庁はこのほか、「一定の理解表明」をしたという自治体も挙げていますが、「容認も反対もしない」(東京都福生市)「一切態度表明していない」(同立川市)という自治体なども含めているのが実態です。五十五自治体には数えられていないものの、再編計画の影響、被害を受けるため反対を表明している自治体も数多くあります。
日米両政府が昨年十月に合意した在日米軍再編計画の「中間報告」は、「最終報告」の取りまとめにあたって「地元との調整を完了すること」に言及しています。圧倒的多数の「地元」が反対している中で「最終報告」を発表するのは、両政府の合意からも道理がありません。