2006年5月1日(月)「しんぶん赤旗」

米軍に再編費3兆円 国民に負担増

今後3年間、増税など押し付け


 「米軍再編なんかやめればいい」――。一日に「最終報告」が取りまとめられようとしている在日米軍再編計画で「再編経費の日本負担は三兆円(約二百六十億ドル)」という米政府当局者の言明に、日本政府内からもこんな批判が上がっています。三兆円といえば、二〇〇六年度政府予算に盛り込まれた、今後三年間の国民負担増・給付減の総計に匹敵します。日本政府は「財政が大変」などといって、国民に三兆円もの負担を押し付けながら、米軍基地強化のためには三兆円もの金を注ぎ込もうというのでしょうか。


財政難言いつつ

 〇六年度予算での国民負担増・給付減のなかには、▽所得税・住民税の定率減税の全廃(約一兆七千三百億円)▽介護保険料の引き上げ(約五千億円)▽高齢者を標的にした医療保険制度の改悪(約三千四百億円)▽たばこ税の増税(約二千六百億円)――などが含まれています。

 〇五年度以前に予算化された負担増・給付減で見ると、今後三年で年金改悪による国民負担増が約二兆円。米軍再編経費のうち、海兵隊のグアム移転費(約七千億円)を除く日本国内の再編分(二百億ドル=約二兆三千億円)だけで十分、取りやめることができます。

過去の総計超す

 政府は毎年、「思いやり」予算など在日米軍の駐留のため莫大(ばくだい)な経費を支払い続けています(〇五年度で約六千五百億円)。このうち、一九七九―〇五年度の米軍基地の施設建設費の総計は約二兆円。今回の再編経費だけでこの一・五倍にものぼります。

 米軍のための費用負担で単一の例としては、一九九一年の湾岸戦争の際、「湾岸諸国会議(GCC)」に約一兆五千億円を支払い、その一部がサウジアラビアでの米軍基地建設費などに充てられたのが史上最高額でした。この費用をねん出するため、たばこ税の増税などが強行されました。

 韓国では、〇四年秋に在韓米軍の再編計画で合意しましたが、その経費分担の交渉は続いています。韓国国防省は、現時点で韓国側の負担は「五兆ウォン(約五十三億ドル=約六千百億円)程度」との見通しを示しています。日本の五分の一です。

 ドイツでの米軍再編経費はほとんどを米側が負担します。米軍撤退後の基地の汚染除去費用の負担割合で交渉が続いていますが、米国は欧州全体の汚染除去費の総計を九千万ドル(約百四億円)と見積もっています。

膨らむ可能性も

 米当局者であるローレス国防副次官は日本負担の「三兆円」という数字について「控えめな試算だ」と述べており、さらに膨らむ可能性があります。

 加えて、政府は再編の対象となっている米軍・自衛隊基地を抱える自治体に容認を迫るため、基地交付金や基地周辺整備費の増額などを提示してきました。これらが実行されれば、再編経費はさらに大幅に増えることになります。

グラフ

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