2006年4月30日(日)「しんぶん赤旗」

岩国基地さらに強化

住民・首長 広がる反発

米軍再編


 米艦載機部隊五十七機を移転させる岩国基地の米軍再編計画を、さらに強化する内容が追加され、住民、首長の間に批判の声が広がっています。

 二十八日昼、岩国市役所前で、北原巌男・防衛施設庁長官を乗せた車は、「生かそう! 住民投票」などのプラカードを掲げる住民の抗議に迎えられました。

 行動したのは「住民投票を力にする会」(艦載機移転反対に○をする会を名称変更)の三十人。吉岡光則会長=山口県高教組委員長=は「結局は空中給油機の移転先は岩国に舞い戻り、艦載機部隊も来る。どういうつもりか」と批判します。

 KC130空中給油機の移転先は一九九六年の日米「SACO合意」でもともと岩国になっていました。今度の再編計画で艦載機部隊が岩国に来ることに伴い、移転先について鹿屋基地(鹿児島)を優先的に検討すると国は説明してきましたが、再び地元説明もなく計画を変更してきました。

 吉岡会長は「先日の市長選挙では、自民党の支持者たちも井原市長に投票した。国が押し付けようとすればするほど、従来の味方を敵に回して新たなたたかいの火種が広がるだろう」と語ります。

 広島県の藤田雄山知事は「地元に何ら事前の説明もなく、かつ地元の意向が反映されないまま決められていくことは、極めて遺憾」だと批判、改めて再編計画に容認できないという立場を示しました。

 大竹市の中川洋市長は阿多田島の養殖業への影響をただし、「現状では容認できない」と回答しました。

 山口県の二井関成知事は「国が岩国市の理解を得る努力をするよう、お願いしたい」とコメントしています。


岩国市長が会見

「容認できない」

 山口県岩国市の井原勝介市長は二十八日、岩国基地を巡る米軍再編計画が、さらに強化される内容に変更されていることに、会見で以下のように発言しました。

 新市の市長として改めて再編計画は容認できないと表明します。

 国は昨年十月の「中間報告」を出す時に、十分に地元との協議をしませんでした。今度は、その「中間報告」からさらに変更したのに、そのまま最終報告に盛り込もうとしています。

 地元調整を完了した上で最終報告をまとめる――。「中間報告」にはこう明記されています。国と岩国市との協議は不十分なのだから、最終報告から、岩国基地に関する部分は除外していただきたい。少なくとも最終報告に「協議中である」ことを明記することを(北原巌男・防衛施設庁長官に)お願いしました。

 KC130空中給油機の移転は従来(一九九六年のSACO合意)から合意していたこと。しかし空中給油機も来る、艦載機も来るでは、岩国に何でも持ってくるということで、これまで以上に市民の反発が強くなるでしょう。

 三月の住民投票や先日の市長選挙で、新岩国市(岩国・玖珂八市町村合併)の市民が艦載機移転に反対であることが示されました。国はその民意を勘案して再編計画を考えていただきたい。勘案せずに進めた場合、後で大きな禍根を残すことになるでしょう、と(北原巌男・防衛施設庁長官には)申し上げました。


岩国基地再編計画 追加された事項

 ▽普天間基地のKC130空中給油機十二機を岩国基地に移転。

 ▽KC130十二機移転に伴い、軍人三百人、民間人要員四十人が移住。家族数は未定。

 ▽艦載機五十七機に加えて、新たにC2輸送機二機を岩国基地に移転。

 ▽艦載機移転に伴う軍人の移住人数は、従来示された千六百人から千九百人に変更。民間人要員二百人も加わる。家族数は千七百人。

 ▽岩国基地所属のCH53D大型輸送ヘリコプターをグアムに移転。軍人百八十人がグアムへ移動。


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