2006年4月28日(金)「しんぶん赤旗」

解放闘争支援 37年前の日本映画

山本薩夫総監督「ベトナム」

ベトナムで放映 反響


 日本のベトナム解放闘争支援運動の中、一九六九年に制作された記録映画「ベトナム」(山本薩夫総監督)が、ベトナムのテレビで放映され深い感動を呼んでいます。(ハノイ=鈴木勝比古 写真も)


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(写真)映画「ベトナム」のDVD宣伝チラシ(上)とキムドン社の写真集『炎の時代』

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(写真)キムドン社の(左から)タ・フオン・ハーさん、グエン・タン・ブー顧問、ファム・クアン・ビン社長

 ベトナムの国営テレビ、VTV1は、今年のホーチミン共産青年同盟創立(一九三一年三月二十六日)七十五周年を記念し、三月二十五日午後八時からこの映画を放映しました。フィルム提供は、ベトナムの少年少女向け出版社、キムドンです。

「家族で感動」

 「息子から電話がかかりました。父さん、すぐテレビをつけて! 戦争の資料映像が見られるよ」「私と多くの人が厳しいけれども英雄的な歳月に引き戻されました。かつての光景やなつかしい人々を思い出しました」(ハノイ在住の画家ファム・タイン・リエム氏の三月二十六日付キムドン社あての手紙)

 「四十年ぶりにたたかいと勝利の輝かしい映像を見ることができました。その中に、父や叔父の世代の人々がいました。家族全員が深く感動しました」(ハノイ在住の退役軍人ブイ・カオ・トゥオン氏の四月十五日付キムドン社あて手紙)

 キムドン社のグエン・タン・ブー顧問は、タクシーの若い運転手が「すばらしい映画だった」と述べたといいます。同社の日本担当タ・フオン・ハーさんは「私あてに何本も電話がかかりました。現在、青年同盟で活動しているある女性は、映画を見ている間、涙が止まらなかったと語りました」と述べました。

 映画「ベトナム」は、一時間四十分の長編カラー記録映画で、戦時下にあった当時のベトナムで長期取材・撮影されました。

 映画は「青年突撃隊」を乗せたトラックがハノイを出発、国道1号線を南下し、国を南北に分断していた北緯一七度近くにあるビンリン地区に向かう姿を紹介しています。そのなかで、米軍の執拗(しつよう)な砲爆撃とたたかいながらたくましく生きる人々を克明に描いています。

 「青年突撃隊」は、北ベトナムの青年が南ベトナム解放闘争支援の輸送路を修復するために志願して結成した組織で、約十五万人が参加しました。その多くが米軍の激しい爆撃で犠牲となりました。

写真集も出版

 キムドン社は、青年同盟の創立七十五周年にあたり、この「ベトナム」の映像を中心に編集した『炎の時代』と題する写真集も出版しました。

 「戦争の時代を知らないベトナムの青少年に映画や写真集を通じて、この時代の苦難と栄光を伝えていきたい」とブー顧問が語りました。

 二十七日夜、VTV1は、ベトナム南部解放(四月三十日)記念番組として、この映画を再放映しました。


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