2006年4月28日(金)「しんぶん赤旗」

金融庁

三井住友銀行を行政処分

融資先に金融商品強要


 金融庁は二十七日、三井住友銀行に対し、優越的な地位を乱用して融資先の中小企業に金融派生商品の購入を強要していた事例が多数発覚したとして、法人営業部によるこうした商品の販売業務を五月十五日から六カ月間停止するよう命じました。法人営業部の新設も全国で一年間禁止するよう命令しました。

 西川善文前頭取などの前経営陣の責任も明確にするよう求めました。さらに、法令順守体制の確立などを柱とする業務改善命令も発動しました。

 金融機関が「優越的地位の乱用」で業務停止命令を受けるのは今回が初めて。

 金融庁によると、三井住友銀は○一年度から○四年度にかけて、融資先企業に取引継続の条件として「金利スワップ」と呼ばれる金融派生商品の購入を迫るなど、銀行という優越的な地位を乱用して商品購入を強要。同行が調査した結果、こうした事例が全国百九十四法人営業部のうち、五十一カ所で六十八件発覚。金融商品販売時の説明不足の事例も約百八十件見つかりました。金融庁は「法令順守より収益獲得優先が常態化していた」と指摘しました。

被害者の救済を

 同問題を国会でとりあげた日本共産党の大門実紀史参院議員の話 三井住友銀行に厳しい処分が下されました。「収益獲得優先が常態化」していたとして、当時の頭取であった西川善文氏(現日本郵政株式会社社長)を含む責任の明確化を求めています。西川氏は速やかに辞職すべきです。また、三井住友銀行は徹底した社内処分とともに、被害者救済に誠実に対応すべきです。


 金利スワップ 金融派生商品の一種。架空の元本(想定元本)を設定し、変動金利と固定金利を交換します。市場金利の上昇による融資の金利負担増を回避する商品として販売されています。しかし、低金利のもとでは契約者に大きな損が生まれる仕組みになっています。


解説

背景に政府の金融政策

 三井住友銀行は、投機的な金融商品である金利スワップを、同銀行に融資を頼らざるをえない業者に強制販売しました。損失の大きさに気付いた業者らが解約を申し出ても、「貸付金の回収」や「担保物件を競売にかける」などの脅しをかけ、契約を続けさせました。まさに、独占禁止法が禁止する優越的地位の乱用そのものです。

 背景には、小泉内閣が強引に進めた不良債権の早期処理による銀行の「収益改善」策があります。同銀行は、当時の西川善文頭取のもと、不良債権処理と短期で収益が上がる金融派生商品(デリバティブ)の販売に走りまわりました。

 金融庁は、三井住友銀行が業務を本格的に改善するよう監視するとともに、他の大手銀行も同様の不公正取引をしていないかどうか、調査をし、是正の指導をするべきです。

 また、一刻も早い被害者の救済が求められています。(大小島美和子)


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