2006年4月26日(水)「しんぶん赤旗」

戦争協力への反省 宗教界では?


 〈問い〉 真宗大谷派が春の法要の一環として全戦没者追悼法会をおこなったとの記事(4月2日付社会面)に、宗教者としての同派の真しな態度を感じました。このことに関連しますが、戦前の戦争協力への反省は、仏教の他の宗派や他の宗教でもあったのですか?(兵庫・一読者)

 〈答え〉 個々の宗教者の戦争責任告白は日本軍国主義敗北直後から始まりますが、教団としての侵略戦争協力への反省は、1947年5月5日に東京・築地本願寺で開かれた全日本宗教平和会議が最初です。日本の全宗教団体を結集したこの会議では、「われらは昭和六年九月満州事変以来の軍国主義的風潮を阻止することができず、……慙愧(ざんき)に堪ないところである。……われらはかかる凄惨(せいさん)なる戦争の勃発(ぼっぱつ)する以前に、身命を賭しても、平和護持の運動を起し、宗教の本領発揮に務むべきであった」と「懺悔(ざんげ)の表明」をしました。

 この後、日本の反動化のなかで教団としての懺悔は窒息させられますが、戦前の反戦宗教者運動を受け継ぎ、宗教的良心をつらぬく宗教者が懺悔と平和のとりくみを続けました。

 1962年に日本宗教者平和協議会が発足するなど、宗教者の組織的で全国的な平和運動が発展するようになると、キリスト教、仏教、新宗教などの教団が平和の表明を次つぎと発し、80年代以降は宗教教団としての戦争協力反省が大きな流れになります。

 真宗大谷派(東本願寺)は、日中戦争全面化から50年の1987年4月2日の全戦没者追弔法会(ついちょうほうえ)で宗務総長が「私たちは単に、『過ち』といって通り過ぎるにはあまりにも大きな罪を犯してしまいました」と述べました。大谷派教団としての懺悔告白はこれが初めてですが、この立場は大伝統仏教教団としては初の「憲法『改正』反対決議」や「教育基本法『改正』反対決議」に発展します。

 浄土真宗本願寺派、曹洞宗、臨済宗妙心寺派など各宗教教団も戦争責任懺悔と平和の声明を発表しています。とくに2001年9月の同時多発テロとイラク戦争以後、日本宗教連盟、日本キリスト教協議会、全日本仏教会、新日本宗教団体連合会という連合体とともに、大教団としては浄土宗、天台宗、日蓮宗などの平和声明が相次ぎ、今日の宗教界の憲法9条擁護の声となって広がっています。(平)

〔2006・4・26(水)〕


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