2006年4月25日(火)「しんぶん赤旗」
山手線の線路隆起
「ドーン」 激しい衝撃
2千人、車内に1時間半
都心の動脈、山手線が五時間半にわたりストップしたJR東日本の二十四日の事故。同日午前十時半すぎ、高田馬場―新大久保間で停車した山手線内回り列車に乗っていた乗客約二千人は、その後約一時間半も車内に閉じ込められました。
二両目の連結部分近くに座っていた男性(58)は「ドーンと車両が浮き上がるような衝撃で、上下に激しく車体が揺れた。電車が壊れたんじゃないかと思うほど、ガチャンッとすごい音がした」と話します。
三両目に乗り合わせた男性(39)も、「ドーンとジャンプするような激しい縦揺れの後、電車がゆっくりと止まった。置き石かと思った」と。高田馬場駅を発車して間もなくのことでした。
停止してから一時間ほどたったころ、ようやく「線路が盛り上がっているのが発見された」という車内アナウンスが。乗客は全員降車することになり、ドアにかけられたはしごから順番に線路に降り、高田馬場駅まで三十分ほどかけて歩きました。
JR東の職員に支えられながらつえをついて歩くお年寄りや、大きなおなかを抱えた妊婦、がまんできずに線路で子どもにおしっこをさせている親子づれも。「線路はガタガタして障害物も多くて歩きにくく、お年寄りやハイヒールの女性は大変そうだった」と前出の男性(39)はいいます。 ようやく駅にたどり着いた後も、周辺は人であふれ、ホームに上がるのに時間がかかりました。救急車のサイレンが聞こえ、途中、線路脇でしゃがみこんでしまう若い女性も。同男性は「線路が盛り上がっていたなら運転は不可能。JR東日本はもっと早く判断し、対応してほしかった」と話しました。
道路拡幅工事で特殊な工法採用
都心の大動脈の山手線や埼京線の四本の線路を持ち上げることになった、線路下の道路拡幅工事。二〇〇三年三月から着工したもので、西武線、山手線、埼京線・湘南新宿ラインが並ぶ線路下に二車線の都道を四車線にするトンネルを掘るために特殊な工法が採用されました。線路下のトンネル上部(図の施工部)の鉄枠の中にコンリートを高圧を加え流し込むもの。このため山手線など四本の線路は隆起し、「西武線は盛り土が厚かったため影響が小さかった」(JR東日本)といいます。
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