2006年4月22日(土)「しんぶん赤旗」

富裕層がますます富んでいるとは?


 〈問い〉 最近、「スーパーリッチ」とか「マス・アフルーエント」といった富裕層ができ、ますます富んでいるといわれますが、実態はどうなのですか?(兵庫・一読者)

 〈答え〉 国民の生活難の対極で、一握りの上層部分に巨額な富を獲得する人々が生まれ、それが「格差感」に拍車をかけていることが最近の特徴です。「富裕者」層の形成は、大企業の巨額なもうけが役員報酬や株式配当として滴り落ちはじめていることとともに、それらの一部富裕者への課税がさまざまな理屈をつけて軽減されて、累積した富が富を生むという社会になってきているからです。

 富裕層の実態はベールに包まれ、今年からは「長者番付」発表もとりやめられ、ますますつかみにくくされます。しかし、金融機関はさまざまな推計データで実像に迫っています。

 たとえば、メリルリンチ日本証券によると、04年末時点の日本で不動産をのぞく金融資産を100万ドル(1億1千万円)以上持つ富裕層は134万3千人で前年末より3万人以上増え、世界の16%を占めています。(「ワールド・ウェルス・リポート05年版」)

 金融資産の所有者は同時に不動産の所有者でもある場合が多いので、富裕者の資産の総額はこの数倍になると思われます。

 また、野村総合研究所は、相続財産種類別統計(国税庁)、消費実態調査(総務省)などの統計に独自のアンケートを加味して、日本の富裕層を、純金融資産5億円以上のスーパーリッチ6万世帯、1億円〜5億円のマス・アフルーエント(大衆富裕層)72万世帯と試算しています。(『知的資産創造』04年8月号、宮本弘之・荻本洋子「新たな富裕層マーケティング」)。

 日本の全世帯のわずか1・5%にすぎない上位2つの層が持つ純金融資産額は合計163兆円(03年時点)で、日本の個人金融資産の1割強を占める計算です。

 こうした富裕層に注目して、トヨタ自動車が昨年夏から、最高級車レクサス(500〜800万円)の国内販売網の本格的な展開を開始し、銀行、生命保険、証券などの金融機関もプライベートバンキング(富裕な個人や家族に対して提供される特別な資産運用・管理サービス)などの富裕層向けビジネスを展開しています。(喜)

〈参考〉雑誌「経済」06年2月号「特集・2006年の日本経済をどうみるか」

 〔2006・4・22(土)〕


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