2006年4月20日(木)「しんぶん赤旗」

深夜労働 増えた

出版勤務の女性5割が心身不調


 出版に働く女性労働者は、長時間労働のなか、二人に一人が心身の不調を訴え、家族との団らんや家庭との両立に支障をきたしている―。こんな実態が、日本出版労働組合連合会(出版労連)女性会議のまとめた「出版にはたらく女性の長時間労働アンケート」調査結果でわかりました。


出版労連調べ

 調査は二〇〇五年五―六月に実施し、三十二単組の二十代以上の女性五百九十一人が回答しました。職種は編集、管理、営業など。97%が正規労働者です。

 一カ月の平均残業時間は、十時間未満33・7%、十一―二十時間17・6%、二十一―三十時間10・7%と、一見、長時間労働が多くみえません。しかし教科書・学習参考書の編集職場では、集中して残業が続く時期があり、平均三十時間以上が四―六カ月の間続く人が半数、平均百時間が六カ月続いた人もいました。三六協定の範囲を超えて仕事をしている人が19%いました。

 残業をする主な理由は(複数回答)、仕事量が多い(43・9%)、人員不足(16・8%)があわせて六割を超えました。体調や家庭の事情で残業が困難な場合は、家に持ち帰る33・2%、休みの日に出てやる32・3%との回答です。

 深夜労働(午後十時―翌朝五時)の月平均回数は(グラフ参照)増えています。

 このような職場実態のなか、長時間・深夜勤務が原因と思われる心身の不調が起きた人は51・6%。婦人科系疾患だけでなくうつ状態など、心身のバランスを崩す人が増えています(別項具体例参照)。

 家庭生活や家族との関係に影響がでて、ゆとりある人間らしい生活が送れなくなっています。

 内容をたずねると(複数回答)、趣味等の時間なし、友人関係の疎遠、家族団らんがない、家事育児が手薄の順になっています。出産や結婚・離婚に影響している、子どもの精神状態が不安定になったと答えた人もいます。

 育児、介護が必要な家族がいる人は、ベビーシッターやホームヘルパーを頼んだり、実家や兄弟に頼み、やりくりしています。

 出版労連の伊東弘子女性部長の話 育児や家事負担は、女性が主に担っているのが現状です。体調を崩しつつも長時間働いている女性が多く、この現実を前に、これから妊娠・出産し子育てをしながら働き続けようとする女性が、仕事のためにあきらめるということも起きています。実効ある男女雇用機会均等法改正へのとりくみはもちろん、働き方そのものを変えていく労働法制の確立をめざしていきたいと思います。

グラフ

表

 三六協定 労働基準法第三六条の通称・さぶろくきょうてい。使用者が労働者に対し、労働時間を延長し(時間外労働)、または休日に労働させる(休日労働)場合に、必要な手続きを定めています。労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者と書面による協定をし、行政官庁に届け出なければなりません。時間外・休日労働は、本来、臨時的なものであり、必要最小限にとどめられるべきものです。


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