2006年4月20日(木)「しんぶん赤旗」

空母ワシントン横須賀配備

米文書で「安全」いうが

原子力艦、数々の事故


 日米両政府は二〇〇八年の米原子力空母ジョージ・ワシントンの横須賀基地(神奈川県)配備に向けた動きを強めています。シーファー駐日米大使は十七日、麻生太郎外相に「合衆国原子力軍艦の安全性に関するファクトシート」と題した資料を提出。外相は「安全性をいっそう裏付ける」と評価しましたが、内容は疑問だらけです。(竹下岳)

原子炉2基停止

 「ファクトシート」は冒頭、米国の原子力軍艦は「50年以上にわたり、一度たりとも、原子炉事故や、人の健康を害し、又は、海洋生物に悪影響を及ぼすような放射能の放出を経験することなく、安全に運航してきた」と力説しています。

 しかし、これまで米国のマスコミや市民団体が暴露したものだけでも、米艦船の原子力事故は数多く存在します。

 米国の研究者が作成したリポート「日本の港に停泊した軍艦における核事故」(一九八八年)によると、八〇年代までに公開された情報だけでも、米海軍の核事故・事件が三百件以上発生しています。

 六〇年代には原子力潜水艦スレッシャー、スコーピオンの二隻が沈没しています。

 九九年十一月三十日には、空母ステニスの原子炉が二基とも緊急停止し、タグボートに曳航(えいこう)されて港に戻る事故が発生しました。

 当初、米海軍は事故を隠していましたが、マスコミの報道や市民団体の要求を受けて発表した声明によると、海水による冷却システムが沈泥を吸い込み、原子炉の一つが停止、さらに自動システムによってもう一基も停止しました。

調査のねつ造も

 「ファクトシート」は「1964年以降、合衆国原子力軍艦は、1200回以上日本国の港(横須賀、佐世保及びホワイトビーチ)に寄港している。これらの港において日米両政府が各々実施してきたモニタリングの結果は、合衆国原子力軍艦の運航が周辺の環境中の一般的なバックグラウンド放射能の増加をまったく引き起こしていない」と述べています。

 しかし、日本政府は七四年、日本共産党の不破哲三書記局長(当時)の追及に、政府が民間機関に委託していた放射能汚染調査のデータの36―40%がねつ造であったことを認めました。米国内でも九〇年、空母ニミッツの乗組員が原子炉の安全性テストのねつ造を内部告発しています。

対策は地元任せ

 大規模な放射能事故が発生すれば、首都圏の広域が放射能で汚染され、多くの人命を脅かすことになります。

 ところが、「ファクトシート」は、放射能漏れなどの事故は「極めて想定し難い事故」であり、これに対処するためには「日本国の既存の緊急事態対応計画で十分」としています。原発を抱える自治体は、ヨウ化カリウムなど放射能汚染を緩和する薬剤を備蓄していますが、これらの措置も「必要とされない」と断定しています。

 米軍は、原子力艦船に関して秘密主義を貫いています。日本の国内法でも規制の対象外になっているため、日本独自に安全性を検証することは不可能です。

 しかも、米軍は放射能汚染事故に関して責任を負わず、対策はすべて自治体任せというのです。ワシントン配備を容認すれば、安全性の調査さえできず、事故対策の責任だけを押しつけられることになります。

 「原子力空母の横須賀母港問題を考える市民の会」の呉東正彦代表は、「米国産牛肉の輸入再開問題とよく似たケースだ」とした上で、「米側が安全性を強調するなら、みずから情報を公開し、日本国民の目でそれを確認できるようにすべきだ」と指摘します。


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