2006年4月16日(日)「しんぶん赤旗」

主張

教育基本法与党合意

国が教育しばること許さない


 与党が教育基本法の「改正」内容を合意し、これをうけて政府は法案づくりにはいりました。こんなやり方と内容でいいのか。いちばん困るのは子どもたちです。

愛国心を押しつけ

 みなさんの毎日にとても関係のある学校や図書館や児童館、家庭などでの教育のおおもとを定めた、「教育の憲法」といわれる大切な法律があります。その法律は、みなさんをふくめた国民の納得のいく話し合いできめていくのが当たり前です。

 ところが、与党のごく少数の人たちが三年間、新聞記者も入れない場所で、ごく少数の役人の人と一緒に、どう変えるかを議論し、「もう結論が出た」といって、連休がおわったら国会で法律を変えてしまう、といいだしました。

 内容もたいへんなものです。

 一つは、新聞やテレビでも「心配だ」と声があがっている愛国心です。正確にいうと「国を愛する態度」をみんなに持たせることを学校の目標にするのです。学校はみなさんの「態度」を点検し、問題があると判断すれば、「態度」を改めるよう指導することになります。指導しやすいように、なにか一律の「態度」が基準として押しつけられるでしょう。

 東京都の学校では「君が代」斉唱が基準です。歌わないと先生を処分で脅して「君が代」を大きな声で歌うことを求めています。こうするように校長先生を動かしてきた東京の教育委員の一人は「事実上、教育基本法は改正した」と威張るように言っています。

 しかし、「国を愛する態度」をどう示すかは、一人ひとりでみんなちがいます。示したくないと思う人もいます。それを点検されたら、おとなだっていやです。憲法では一人ひとりの「良心の自由」が認められ、そんなことは子どもにもおとなにもしてはならないことになっています。

 それから、いまの法律では、政府や政治家は、教育の内容にあれこれ口を出してはならないことになっています。みなさんのおじいさん、おばあさんの時代、政府が教育内容を統制して、「日本は正しい戦争をしているんだ」と子どもに教えてひどい戦争になりました。そのことを反省してきめられた大切な原則です。

 与党は法律をかえて、その原則をこわそうというのです。「教育振興基本計画」という名前の制度をつくり、教育で何をするかを政府が決めるようにするからです。その「計画」で政府がまずやりたいと言っているのが、先生たちが心配している「全国学力テスト」です。すでに学力テスト競争をはじめた学校では、先生たちには「平均点を何点あげろ」とノルマが課せられ、「平均点を下げるから」とテストの日に学校を休む生徒もでて、「なんでこんなことをするのか」と涙ながらに怒っているお母さんもいます。法律が変われば、こんなことがどんどん押しつけられます。

変える必要ありません

 私たちおとなは教育に関心をもち、よくしたいと思っています。一人ひとりの子どもが大事にされるように少人数のクラスにすることや、みんながよく分かるように勉強を教えることや、体罰やえこひいきのないあたたかい学校をつくることなどです。そのためには教育基本法をかえる必要はまったくありません。

 教育をよくすることに背をむけて、大切な法律を国がみなさんや教育をしばる法律にするなど許せません。多くのおとなが立ち上がって、そんなことをさせないようにします。


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