2006年4月15日(土)「しんぶん赤旗」

労災補償

「不支給」取り消して

奈良交通 運転者の遺族が提訴


 奈良交通(本社奈良市)の路線バス運転者・中井頴さん=享年五十六歳=が二〇〇三年十月、乗務中に解離性大動脈瘤(りゅう)破裂でハンドルに覆いかぶさるようにして死亡した問題で、妻の千代子さんは十四日、国を相手取って労災補償の不支給処分を取り消す請求を奈良地裁に提訴しました。

 訴状では同運転者が、月に四、五回しか自宅に帰れない宿直を伴う勤務であったこと、渋滞などで長時間の連続運行を強いられたこと、死亡当日の朝、体調不良を訴えているのに、無理に乗務させられたことなどを指摘。「精神的・肉体的に過重な業務によって、大動脈解離を増悪させ、会社によって救命の機会を奪われたことによって、業務上死亡した」としています。

 会見した千代子さんは「ダイヤ改正のあと、からだが休まることがない状態が続いていた。夫の無念を晴らしたい」と胸中を語りました。中井さんの弁護団は「労災申請、不服審査請求、再審査請求を経て今回の提訴となった。路線バス運転手の労働条件改善になっていくよう、とりくんでいきたい」と話しています。

 奈良交通は〇四年二月に近畿運輸局から、過労運転の防止違反でバス四台を五日間運行停止にする行政処分を受けています。


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