2006年4月11日(火)「しんぶん赤旗」

沖縄米軍基地 V字形滑走路案

離・着陸分離に疑問

専門家指摘 費用だけ倍以上


 政府・防衛庁と沖縄県名護市が合意したキャンプ・シュワブ沿岸部のV字形滑走路案について、航空・軍事の専門家の間では「離陸、着陸専用の滑走路使用なんてあり得ない。作ってしまえば運用は米軍まかせにならざるを得ない。政府案は地元との合意を優先した費用だけが倍以上かかるごまかし案だ」と語っています。(米田憲司)


地図

 四月七日に合意した新基地の滑走路案は、北東側の先端が約二十度に開いたV字形となっています。政府・防衛庁は航空機とヘリは南西側から着陸し、離陸は右に約二十度ずらした滑走路を使用するとしています。

 これに対し、航空に詳しい軍事評論家は「離着陸を分けて使用することは当然可能だが、それでも固定翼機なら平行滑走路と違って航空機同士の間隔を開けねばならないので、同時離着陸はできない。米軍の訓練の多くは一本の滑走路を使う離着陸(タッチ・アンド・ゴー)訓練であり、着陸してから別の滑走路にタキシング(航空機の移動)していては訓練にならない」といいます。

 元航空自衛隊のパイロットは「有事即応態勢の米軍にとって、離着陸方向や使用を区別していては作戦に支障が生じる。制限は尊重するだろうが、実際にその通りになるなんてあり得ない」と語っています。

 風向きについてもそうです。地元、辺野古崎周辺の風に詳しい住民によると、冬場は北東の風が吹き、春から夏場にかけては南東の風が吹く場合が多いといいます。

 全運輸労働組合の管制官は「軍用機は通常、自由自在に飛ぶ有視界飛行(VLF)をしており、風力が五ノット以上なら、どちらの滑走路を使用するかはパイロットの判断に委ねられる。政府案はいわば、天候が悪い計器飛行(ILF)で風が北東方向から吹いている場合の想定だ。滑走路は両端から離着陸が可能であり、風向きによっては南西側からの離陸は当然あり得る」と指摘しています。


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