2006年4月9日(日)「しんぶん赤旗」

主張

沖縄新基地「合意」

痛みの恒久化は耐えられない


 額賀防衛庁長官と島袋沖縄県名護市長は、キャンプ・シュワブ沿岸部(名護市)での新基地計画について、着陸用と離陸用の滑走路を二本つくることで合意しました。

 「住宅の上空を飛ばない」ことが合意受け入れの理由にされていますが、今回の合意は、政府の沿岸案を巨大化したうえで恒久化するものです。米海兵隊を喜ばすだけで、地域住民の安全を脅かし、海を汚すことに変わりありません。

巨大基地の出現

 防衛庁の新提案は、周辺住民の「住宅の上空を飛ばないで」という最低限の願いを逆手にとって、新基地建設を押し付けようとするものです。

 着陸時は、宜野座村の上空をさけて南から陸側の滑走路に進入する、離陸は海側の滑走路から名護市上空をさけながら東へ飛び立つ。これらは米軍機の運用実態を隠した、ごまかしの言い分です。

 米軍は飛行コースを公表しません。公表すれば、米軍機の行動がそれにしばられるからです。実際、嘉手納基地をはじめどこでも、米軍機はいろんな方向に飛びます。石破元防衛庁長官も、「米軍は飛行ルートどおりには飛ばない」(四日付「琉球新報」)と明言しています。

 北側からの風が多いから南から進入することが「ほとんど」といいますが、そうでない場合のことは、「継続的に協議」すると、都合の悪いことは先送りするだけです。

 訓練空域などに移動するときには住宅上空を通るということにも口をつぐんだままです。辺野古など三地区の「上空の飛行ルートを回避する方向で対応」するといっても明確な保障はありません。根拠のない説明で新基地を押し付けるのは県民を愚弄(ぐろう)するものです。

 二本滑走路をもつことで米軍の運用は強まります。着陸態勢の米軍機を優先し、離陸機を待機させる必要もなくなります。米軍機の展開はより増大し、その結果、危険性もより強まることになるのは明白です。

 新基地案は、SACO(沖縄にかんする特別行動委員会)合意の海上基地計画にくらべはるかに強大な最新鋭基地計画です。SACO合意で明記した「撤去可能なもの」も消え、沿岸巨大基地は恒久化されます。千五百メートルの滑走路が千八百メートルに拡大します。必要とされる四十一施設も陸上と海上基地に分離することなくすべて一カ所に集中できます。

 しかも、軍港までつきます。北原防衛施設庁長官は、岸壁が「荷揚げ用と貯油所」といっています。米海兵隊は、時速八十キロ以上、兵員一千人以上、ヘリ八機、物資四百トンを一度に輸送できる高速輸送艦の運用を重視しています。新基地は、高速輸送艦がキャンプ・シュワブや隣のキャンプ・ハンセンに駐留する地上戦闘部隊を乗せ、世界のどこにでも迅速に出動できる新しい出撃拠点になるのはあきらかです。

 国民の税金投入もさらにふくれあがります。国民へのしわ寄せをかえりみないアメリカいいなりの合意を認めるわけにはいきません。

基地撤去が一番

 アメリカ政府が沖縄の新基地建設を重視するのは、沖縄を先制攻撃戦争の足場づくりの中心にすえているからです。決して日本の平和と安全を守るためのものではありません。

 「合意」は県民の批判を静めるどころか、怒りをいよいよ大きくしています。

 県民の安全を守り、世界の平和を守るためには、新基地建設に反対し、基地撤去を求める以外ありません。


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