2006年4月4日(火)「しんぶん赤旗」

公務員削減 国民の安心・安全どこへ

「行革推進」法案 塩川議員の質問


 「公務員削減先にありきで、最低限の国の役割さえ放棄するのではないか」。三日の衆院行政改革特別委員会での、日本共産党・塩川鉄也議員の質問は、「行政改革推進」法案による公務員削減が国民生活に密着した行政サービスの低下を招くことを明らかにしました。


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(写真)地方公務員削減について質問する塩川鉄也議員=3日、衆院行革特別委

 地方公務員を削減するために「行革推進」法案は「地方公務員の配置に関し国が定める基準を見直す」としています。

 塩川氏は「国が定める配置基準とは、国として最低限の公共サービスを保障するために定めた人員配置の基準だ。国民生活に直結した福祉、教育、安心、安全の分野が対象になっている」とただしました。

最低基準さえ引き下げ 保育

 一歳、二歳児は子ども六人に保育士一人以上が基準です。同じ基準だったゼロ歳児は、子ども三人に保育士一人以上に基準が改定されています。

 その理由を聞かれて厚生労働省の担当者は「中央児童審議会の意見具申を踏まえ定められた」と答えました。

 一九六八年の同意見具申は「抱いたりあやしたりして乳児と一緒に遊ぶことが情緒の発達を促し、人間関係に興味を持ち、社会性の基礎をつくるものである」から「一人の保育者の受け持つ乳児の数については、最も重要な問題として考慮しなければならない」「保母一人あたりの担当乳児数は三人までとする」と明確に述べていました。

 国がみずから定めた最低基準さえ投げ捨ててしまえば、保育環境の悪化をまねくおそれがあります。

 塩川氏は「保育や教育で上乗せ措置をとっている自治体が多くある。基準は最低限であり引き下げは現状に逆行する」と指摘しました。

 小泉純一郎首相は「時代が変わり基準を設けなくてもサービスができるのではないか。公務員でなくてはいけないのかどうか。配置基準は見直しがあってもいい」と答えました。塩川氏は「保育所の保育士配置など、基準は官も民も同じ。配置基準の見直しは民間のサービスも後退させることになる」と批判しました。

35人学級計画見送りに 教育

 塩川氏は「『行革推進』法案が国民の要求をおさえこむ実害として現れている」として、教員定数の問題をとりあげました。

 日本の四十人学級基準は欧米と比べて立ち遅れています(表)。

 昨年の文部科学省の調査研究協力者会議では「三十人学級は国民的悲願だ」という声も出ました。文科省はこうした声も踏まえ、小学一年生では三十五人学級も可能とする「第八次教職員定数改善計画」を昨年夏に立案しましたが、実施は見送られました。

 見送った理由について小坂憲次文科相は「その後の行政改革の重要方針(昨年十二月閣議決定)に鑑み」と答弁。重要方針を受けて「行革推進」法案では教職員の削減を明記しています。

 塩川氏は「三十五人学級をせめて小学校一年生でやろうという計画があったのに『行革推進』法案ができたことで取り下げた」と告発しました。

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いまも25%の人員不足 消防

 地方自治体の仕事である消防について国が基準を定めている理由を塩川氏が尋ねたのに対し、消防庁の担当者は「国民の安全の保障は国家としての基本的責務だから」と答えました。「行革推進」法案はその基本的責務を後退させようとしています。

 消防ポンプ車や救急車の配置基準は火災発生件数や人口規模・密度に応じた科学的な根拠で決められています。消防士もそれに対応して決められています。しかし実際には消防士は基準の75・5%しか満たされていません。塩川氏は「消防の現場で話を聞いてきたが、少ない人数で体を張った仕事をしている」と述べ、法案は達成されていない最低限の基準さえも壊そうとするものだと訴えました。


日本は公務員が少ない

 塩川氏 日本の公務員は国際的に見て、多いのか少ないのか。

 中馬弘毅行政改革担当相 必ずしも多いとは言えないと思う。

 政府も認めるように、日本はすでに「小さな政府」を実現しています。にもかかわらず、「行革推進」法案は国・地方の公務員削減を最大の目玉としています。国家公務員は五年間で5%以上の純減、地方公務員は五年間で4・6%以上の純減の目標を掲げています。

 塩川氏はパネル(グラフ)を示して「日本の公務員は国際的に見て少ない人数で公務、公共サービスを担っている」と指摘しました。

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行革いうなら談合にメスを

 塩川氏は、公共工事の相次ぐ談合事件を示し「行革というなら、ここにこそメスを入れるべきではないか」と迫りました。

 この間、防衛施設庁の官製談合事件をはじめ、橋梁(きょうりょう)談合事件、汚水処理施設談合事件、水門工事談合事件など枚挙にいとまがありません。

 橋梁談合では受注総額が二千三百六十億円にのぼり、公正取引委員会は三月二十七日に係争中の数社をのぞく四十四社に課徴金百二十九億円を命じました。

 九五年以降に複数の談合事件を起こした企業には三菱重工(経団連副会長)、日立製作所(同)、東芝(同)をはじめ、松下電器、石川島播磨重工、三菱電機などが名を連ねています。

 塩川氏は「日本経団連の役員企業が談合の常習犯だ」と指摘。「談合を繰り返す企業には発注しない、献金を受け取らないことを宣言すべきだ」と強調しました。


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