2006年4月4日(火)「しんぶん赤旗」
米軍再編 きょうから日米協議
各地で反発 問題山積み
在日米軍再編に関する日米外交・軍事審議官級協議が四日から六日まで、ワシントンで行われます。
日米両政府は今回の協議で合意に達し、「最終報告」を今月中旬にも発表したい意向ですが、在沖縄海兵隊のグアム「移転」経費の負担問題をめぐる双方の主張は隔たったままです。沖縄のキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市)への新基地建設問題をはじめ、再編計画に反発する地元自治体との協議も進んでいません。
「移転」経費
在沖縄海兵隊のグアム「移転」経費について米側は総額を約百億ドル(約一兆二千億円)と見積もり、その75%(約九千億円)の負担を日本側に要求。米側は「全体の同盟関係を見れば、日本のコストは小さい」(国防総省当局者)と要求をのむよう迫っています。
これに対し日本政府の姿勢は揺れ動いています。麻生太郎外相は三月二十九日の衆院沖縄北方特別委員会で「50%を超えないようにしたい」と答弁。ところが額賀福志郎防衛庁長官は同三十一日の記者会見で「今は数字を積み上げている段階。責任ある立場にある者として軽々に数字のことを言える段階にない」と、外相を批判しています。
負担の割合だけでなく、その根拠や方法などについても、具体案は明らかにされていません。
新基地建設
キャンプ・シュワブ沿岸部への新基地建設計画(沿岸案)をめぐる地元・名護市との協議も、政府の思惑通り進んでいません。
額賀防衛庁長官は二日、中断されていた名護市との協議を今週中に再開することを明言しました。これに対し島袋吉和市長は三日、沿岸案を基本にした政府の「微修正」案を否定、飛行経路が同市の集落にかからないという条件を改めて主張し、「名護市の最低条件で協議をするとしない限りは(上京する)必要はない」(琉球新報三日付夕刊)と述べています。
米側は、地元との協議がまとまらなければ最終合意はしないと日本側に伝えているとも報じられています。一方で防衛庁首脳は名護市との協議が決着しなくても「最終報告」を取りまとめる意向を表明しており、今回の審議官級協議ではその取り扱いが大きな焦点になるとみられます。
空中給油機
このほか、沖縄の普天間基地の空中給油機移転先変更問題も大きな焦点です。
昨年十月末の在日米軍再編計画では、移転先として海上自衛隊鹿屋基地が「優先的に検討される」ことになっていました。ところが、米軍がこれに不満を表明、設備や米兵用の住宅、厚生施設などが整っている岩国基地(山口県)への移転を要望しています。
日本政府は「鹿屋優先は変わらないが、米側と協議中」との立場で、それまでの「鹿屋以外では検討していない」(鹿屋市の質問への回答書)との態度を変えています。
しかし、岩国では三月十二日に空母艦載機移転の是非を問う住民投票が行われ、約九割が反対。政府は「仮に岩国移転ということになれば厳しい局面が予想される」(外務省筋)と、地元のいっそうの反発を恐れています。