2006年4月3日(月)「しんぶん赤旗」
過去にも 他国にも 法的根拠も なし
米海兵隊グアム移転費 日本負担
四日からワシントンで始まる在日米軍再編の日米外交・軍事審議官級協議では、沖縄の米海兵隊八千人のグアム移転費用の負担問題が大きな焦点になります。しかし、米領内の基地建設の費用の負担自体、法的根拠もなく、歴史的にも国際的にも例がありません。(竹下 岳)
政府も認める
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「グアムへの移転についての負担は、いわゆる引っ越し費用というより、行き先の施設整備の支援になると思う。こういう例は(世界でも)あまりない」
昨年秋の在日米軍再編にかんする「中間報告」作成にかかわった政府関係者がこう指摘するように、グアム移転費用には、移動費だけでなく、住宅から司令部棟や病院、訓練施設の新設、既存施設の拡充まで含まれています。
米側が提示した総額は百億ドル(約一兆二千億円)で、日本に75%(約九千億円)の負担を要求しています。
三月二十三、二十四両日の審議官級協議の時点で、麻生太郎外相は米軍の住宅建設のために「融資」を行い、家賃の形で回収する考えを示しました。その後、「真水」(一般会計予算からの直接支出)に言及(三月二十八日の参院外交防衛委)し、財政上の特別枠を設ける考えも示唆しました。
しかし、「日本国政府の財政支出によって、米国にある米軍基地等に財政的資金支出を行った例はない」(河合周夫・外務省北米局長、二月二十日の衆院予算委)のです。
国際的にも、湾岸戦争の際、日本などの戦費支援でサウジアラビアに米軍基地が建設された例がある程度です。
日本と同様、米軍再編が進んでいるドイツでは、移転費用はすべて米国の負担です。
日米地位協定を逸脱した在日米軍への「思いやり予算」も、米領内での基地建設は「適用外」(外務省)との結論です。
しかも、国外の基地建設への支出は、「支出とは国の各般の需要を充(み)たすための現金の支払をいう」と定めた財政法第二条に違反する疑いもあります。このため、「新規立法は避けられない」(外務省筋)との指摘もあります。