2006年3月28日(火)「しんぶん赤旗」

“ビラ配布は正当な行為”

堀越さんきっぱり

弁護側 「本質は政治弾圧」

国公法事件結審


 休日に自宅近くで「しんぶん赤旗」号外などを配布した社会保険庁職員の堀越明男さん(52)が、国家公務員法(国公法)違反で不当に起訴された国公法弾圧・堀越事件は二十七日、東京地裁(毛利晴光裁判長)で開かれた公判で弁護側の最終弁論と堀越さんの最終意見陳述が行われ、結審しました。判決公判は六月二十九日です。


 堀越さんは「憲法を誠実に守ることを宣誓した公務員が、休日に職務とは無関係に『憲法を守れ』とのビラを配布したという私の行為は、犯罪ではなく正当な行為だと思います」とのべ、無罪を求めました。

 堀越さんは「社会に役に立てるような仕事をしたくて、国家公務員の道を選んだ。社会保障の分野は、まさに国民のために働けることであり、誇りを感じてきた」とふりかえり、「今回の逮捕・起訴で年金相談業務から離れざるを得なかったことは大変残念」と涙ながらに陳述しました。

 また、「公判で公安警察の監視体制の恐るべき実態が明らかになった。私が観劇や居酒屋、歯医者に行った時も記録をとっていた。私ばかりでなく、周囲の人々を含めてプライバシーが侵害されたことは許すことができない。不当逮捕、起訴は私に対する重大な人権侵害だ」とのべました。

 弁護側は前回公判につづく最終弁論で、「本件は徹頭徹尾、警視庁公安部が主導し、刑事警察なら行うはずのない異常な捜査を遂げ、起訴に至ったもの。日本共産党を『警備対象』とする、政治警察による公党の弾圧が本質であることが、審理で完全に証明された」と指摘。公安警察が堀越さんの情報収集を事件前からしていたことなどをあげ、「違憲の国公法は公安警察の凶器とされた」と告発しました。

 さらに「もし裁判所が、国公法、人事院規則の合憲性を認め、大々的な尾行、ビデオ撮影、プライバシー侵害の捜査手法を容認するなら、政権に対して批判的な言論は弾圧される、暗い警察国家が再来する」と指摘しました。

 弁護側は最終弁論を「事実認定、憲法、国際人権規約、ILO条約など、いかなる観点からみても、被告に政治責任を認めるべき一片の理由もないことが明らかになったと、弁護人一同、固く信ずる」と結びました。


“歴史に残るたたかいに” 都内で集会

 「歴史に残るたたかいをやろう」―。堀越明男さんの無罪判決をめざす集会が二十七日、東京都内で開かれ、約百人の参加者は判決公判に向け、署名や宣伝活動を強化していくことを確認しました。

 弁護団事務局長の加藤健次弁護士が、この裁判が憲法や国際自由権規約を守るたたかいであることに触れながら「事件の本質は休日に自宅近くでビラをまくことが犯罪的なのか、それとも尾行し、ビデオ撮影までやった公安警察が犯罪的なのかにある」と指摘。「きちっとした判決を書いてもらうためにも大きな運動を」と呼びかけました。

 最終弁論まで二十七回の裁判を傍聴したのは、のべ二千五百人。支援してきた団体や個人が次々と発言しました。

 国公労連の香月直之中央執行委員は「裁判の傍聴そのものが勉強になった。様々な考えの国家公務員が人間的な活動をしてこそまともな行政ができると確信した」

 国民救援会の山田善二郎会長は「ビラを配ってけがをした人はいない。損をした人はいない。日本の民主主義を守るために全力でがんばりたい」と決意を語りました。

 集会では堀越さんが全国の支援にお礼をのべるとともに最後までたたかう決意を表明しました。


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