2006年3月27日(月)「しんぶん赤旗」

主張

日米審議官級協議

基地再編反対の声と向き合え


 在日米軍の再編をめぐる日米外務・防衛審議官級協議は、先週末の協議でも米海兵隊のグアム移転費負担などで結論がでず、今週、協議を続行します。「最終報告」は四月以降にずれ込む見通しです。

 協議は、関係自治体・住民の強い反対を無視してすすめられています。これは、地方が反対しても、基地再編を強行するという政府方針のあらわれであり看過できません。

矛盾は解決できない

 さきにおこなわれた山口県岩国市の住民投票では、米空母艦載機部隊の移駐反対の声が90%にものぼりました。ところが小泉首相は「どこでも住民投票をすれば反対でしょうね」とのべるだけで、基地再編を押し付けようとしています。

 安倍官房長官は、地元との合意がなくとも「最終報告」をまとめるとのべています。ラムズフェルド米国防長官が「賛成もあれば反対もある。そこである決定をしなければならない」とクギを刺したからです。住民の声よりアメリカの要求を優先させる姿勢は明白です。

 米軍再編の最大の焦点になっている沖縄新基地について、小泉首相はキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市)案が「基本」と言い続けています。政府は地元名護市との交渉をすすめるなかで「微修正」をちらつかしていますが、それは地元を政府の土俵に引き込むためです。

 新基地建設が前提である以上、たとえ位置をずらし、滑走路の向きを変えても、基地による痛みは変わりません。輸送ヘリの旋回訓練や輸送機などの固定翼機による騒音被害や墜落の危険と隣り合わせです。建設工事は海を汚染しジュゴンに死活的影響を与えます。

 しかも、SACO(沖縄にかんする日米特別行動委員会)報告がいう「撤去可能」な基地とも違い、桟橋も完備する恒久基地となります。

 アメリカの先制攻撃戦争で多くの人々を殺傷する足場とされることは、県民が大切にしている「命(ぬち)どぅ宝」(命こそ宝)の思いにも反します。あくまでも新基地建設を前提とした政府方針では、県民の平和と安全の願いに反し、この矛盾を解決できないことは明白です。

 岩国市の住民投票で、空母艦載機部隊の岩国基地移駐受け入れに反対票を投じた市民は、全有権者の51%に当たります。騒音や墜落の危険、米軍凶悪犯罪をこれ以上増やしたくないという切実な思いのあらわれです。広島県廿日市市など米軍機の低空飛行で苦しむ周辺五市長も移駐反対を明確にしています。

 神奈川県座間市と相模原市は、先制攻撃戦争を指揮する戦闘司令部の座間基地移転につよく反対しています。星野座間市長は国の案を「お返しします」、小川相模原市長は「負担を強いるだけでとてものめる話ではない」ときっぱり拒否しました。

 いま政府に必要なのは、アメリカいいなり姿勢をあらため、関係自治体・住民の願いを最優先にして再編計画そのものを見直すことです。

問われる基地国家

 戦後六十一年もたつというのに、アメリカは日本全土に八十七カ所もの専用基地(本土五十一、沖縄三十六)をもち、国民に痛みをばらまいています。この異常な基地国家を永続化し、日本を先制攻撃戦争の足場にする米軍再編を認めるわけにはいきません。

 地域住民の安全を守り、アジアと世界の平和を守るため、米軍基地再編反対の運動を広げることがますます大事になっています。


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