2006年3月25日(土)「しんぶん赤旗」

公訴棄却を求める

国公法弾圧世田谷事件 初公判で弁護側


 休日に職場から遠く離れた場所で、厚生労働省職員の宇治橋眞一さん(58)が「しんぶん赤旗」号外を配り、住居侵入容疑で「逮捕」され、その後、国家公務員法違反で起訴された事件の初公判が二十四日、東京地裁(小池勝雅裁判長)で開かれました。宇治橋さんの弁護団は、国公法の「政治的行為の制限」規定は憲法違反であり、さらに「逮捕」自体も不法で起訴自体認められないとして、公訴棄却を求めました。

 同事件は、昨年九月、東京都世田谷区の警察官官舎である池尻住宅で、宇治橋さんが「しんぶん赤旗」号外を一階の集合ポストに投かんし、住居侵入容疑で「逮捕」され、その後、国家公務員と分かり、国公法違反で起訴されたものです。住居侵入罪では、起訴されませんでした。

 宇治橋さんは「住民から注意を受け即退去しようとしたが、その人が前に立ちふさがり拒まれた。(ビラ配布は)憲法に保障された言論・表現の自由を実現するために私人としてした行為。国家公務員法違反として処罰されるものではない」と意見を述べました。

 弁護団は意見陳述で、宇治橋さんが立ち入った場所は、屋根も壁もなく、だれかが食事したり、寝たりする住居ではないため、住居侵入にはあたらないと指摘。「宇治橋さんを逮捕した、警察官の行為は、職権乱用にも相当し、明白な違法行為」としました。

 宇治橋さんのビラ配布を発見した警察官が、しばらく配布行為を注視したあと、配布されたのが日本共産党のビラと確認し、声を掛けるに至っていることを批判。「立ち入り行為をとがめるのであれば、ビラを確認する必要はない。居住者の知る権利を侵害し、宇治橋さんの政治的見解の表明、表現の自由の行使を妨害するもので、著しい違法」としました。

 国公法の「政治的行為の制限」規定については、公務員を含めたすべての者に表現の自由を保障した国際人権自由権規約や憲法二一条からみて「正当化することは許されない」としました。

 同様の事件では、一昨年三月、社会保険庁職員の堀越明男さん(52)が、三十三年ぶりに不当起訴されています。

 次回公判は、五月十七日です。


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