2006年3月24日(金)「しんぶん赤旗」

米軍再編問題について

CS放送 志位委員長語る


 日本共産党の志位和夫委員長は二十二日放送のCS番組・朝日ニュースター「各党はいま」に出演し、米軍再編、憲法論議と国民投票法案などについて語りました。そのうち、米軍再編問題についての部分を紹介します。聞き手は、朝日新聞の早野透編集委員。


岩国の住民投票
―全国に響く大きな意義

 ――岩国の住民投票で87%が厚木基地からの艦載機移駐に反対しました。

 志位 今後、空母艦載機が厚木から五十七機もやってきて、合わせたら百機を超える、世界一過密な航空基地になる。今まで基地との共存をおしつけられてきた自治体が、これ以上の負担はもうごめんですという声をあげたことの意義は非常に大きい。この勝利は、沖縄にも響きますし、神奈川のたたかいにも響く。全国にも響く、大きな意義をもっています。

 ――この住民投票に“しょせんアンケート調査だ”などという政府の対応については。

 志位 政府は、決定に変更はないんだという一点張りです。しかし、自治体の本来の仕事というのは、住民の安全と暮らしを守ることにあるわけですから、当然の判断をした。これを尊重しないということになったら、それこそ地方自治の破壊ということになります。

 もう一ついいたいのは、“日本の安全保障全体を考えて、平和と安全のためにやっている”というのが与党の言い分ですが、やってくるのは艦載機でしょ。艦載機は空母に載っかっている。空母は何をしているかといったら、イラクの戦争、アフガンの戦争という無法な戦争に一番のりしてやっている。それを拒否するというのは、世界とアジアの平和を守る大義をもったたたかいです。

空母母港の永久化に反対
―連帯が大事

 ――いまの枠組みは変えられないといって岩国で「ノー」というと、厚木の方は依然として同じ状況が続く。このあたりはどういう把握の仕方をしたらいいのでしょう。

 志位 (昨年十月の)「2プラス2」(日米安全保障協議委員会)の合意をみますと、空母と艦載機をより安定的に、今後に長期にわたって運用できるようにするために移転するんだと書いてある。つまり、神奈川の人にとっては横須賀が空母の母港が永久化される。これは非常に大きな負担になるわけですね。

 今後は原子力空母になるということで大きな反対のたたかいがおこっています。空母の母港にしておくうえで、厚木だけでは足らないから岩国の方で、艦載機の訓練もやれるようにするというふうにすれば、母港が永久化できるんだという方向が書いてある。神奈川の県民のみなさんもそこをみて、岩国のみなさんと力をあわせて、母港を返上するたたかいが大事だと思います。

 その点では、岩国の市長さんは声明の中で、この結果を尊重して白紙撤回することとあわせて、厚木の騒音の負担軽減を求めています。お互いの連帯が大事だと思います。

政府の「微修正」
―変わらない基地恒久化

 ――沖縄の基地では「微修正」という話も出ていますが。

 志位 沖縄のキャンプ・シュワブの「沿岸案」(沿岸部への米軍新基地計画)をめぐって、政府は若干の「微修正」はあるんだというようなことをいっています。しかし、同時に政府は、原則は変えないということをいいはっています。

 なぜ、沖縄の方々が今度の「沿岸案」を受け入れられないか。これまでSACO(沖縄に関する特別行動委員会)という枠組みがあり、「撤去可能な基地」ということがいわれていた。つまり、恒久基地ではないと。SACOの枠組みでつくった案も海上基地をつくって、いらなくなったら撤去する。だから稲嶺沖縄知事も「十五年」という撤去条件をつけていたんですね。

 ところが、今度の「2プラス2」はそれがない。永久の基地をつくろうというわけなんです。

 ですから、「話がSACOとも違うじゃないか」と、SACOに賛成した人も含めて今度の「沿岸案」は絶対反対だとなっています。島ぐるみで一致しています。「微修正」といっても、この恒久化という基本は、絶対に変えようとしていないわけですから、県民との矛盾は決して解決できないと思います。

 ――七十五億ドルを求める言い分については。一部には、沖縄で負担軽減するんだからそのぐらいお金を出して出ていってもらおうという意見もないわけではない。

 志位 まず沖縄にとっての一番負担になっている海兵隊の部隊は何かといったら実戦部隊なんですよ。つまり、実際にイラクに派兵されてドンパチやって帰ってくる。この実戦部隊が一番事故もおこし、犯罪もおこし、危険の温床になっている。実戦部隊はそのままなんです。司令機能だけ若干移すというだけですから、一番物騒なところが残るという大きな問題があるんですね。

 もう一つの問題は、アメリカの側からすると、今度のグアムへの司令部移転はどう位置付けられているかというと、例の「2プラス2」の合意文書にも出てくるんですけれど、太平洋における米軍の機能を強化するんだと。そのために海兵隊も再編・強化する、海兵隊の機能を沖縄とグアムとハワイ、この三つを中心に再編する、グアムはちょうどいい位置にあるから、司令部をこっちにもってきて、沖縄と間をいったりきたりしながら作戦をやるんだと。何も沖縄の人たちの軽減のことを考えてやる話じゃないんです。アメリカの勝手な基地強化の一環で位置付けられているもので、それに日本国民の税金を出すなどということはまったく間違った話です。


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