2006年3月21日(火)「しんぶん赤旗」

核公開指針 策定を断念

米国防総省が本紙に認める


 【ワシントン=山崎伸治】米国防総省は二十日までに、本紙に対し、統合参謀本部が十年ぶりに改訂作業を続けていた指針「統合核作戦ドクトリン」について、その公開文書の策定を断念したことを明らかにしました。

 この文書は、戦域核兵器の先制使用の実例を列挙するなど、非核保有国に対する核兵器の一方的使用をいっそう進める危険な内容のものです。昨年三月作成の最終草案が判明すると、米国内外で大きな批判が起こりました。

 日本共産党は一月に開いた第二十四回大会で採択した決議で、この文書に言及し、「米国の核先制攻撃戦略は、きわめて危険な新しい段階に足を踏み入れようとしている」と厳しく批判しました。

 この文書は、当初は昨年八月に完成する予定とされていました。しかし、草案のままで最終的に採択すると危険な核使用政策を正式に肯定することになるため、公開文書としては撤回することにしたものとみられます。

 国防総省のスーザン・イジアク報道官の本紙への回答は、「文書は見直しのために回覧された。その結果、この文書が統合参謀本部の必要条件を満たさず、米国の核政策の正確な要約でもない、という結論になった。発行は撤回され、この文書に関するすべての作業は停止された」と述べています。

 その上で、「現行の核ドクトリンは、機密扱いの諸文書に正確に反映されている」としています。

 内外の核問題研究家は、公開文書が非公開文書になっただけのことであり、米国が核先制使用政策の具体化を進めている事実は変わらないとみています。


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