2006年3月21日(火)「しんぶん赤旗」

長期リハビリ 保険外に

全額自己負担のケースも

来月の診療報酬改定


 四月から実施される診療報酬改定を前に、長期のリハビリテーション治療を受けている患者の間に不安が広がっています。リハビリの保険適用に、日数の上限を設け、これを超えた部分は保険対象外にする方針だからです。全額自己負担となる患者も生まれるおそれがあります。(山岸嘉昭)


 今回の診療報酬改定では、リハビリ料を大幅に見直しました。これまでの理学療法、作業療法、言語聴覚療法の区分を再編し、四つの疾患別リハビリ料を新設しました。問題は、それぞれの診療報酬算定に、発症日からの日数の上限を設け、上限を超えたリハビリは患者の自己負担にすることです。

 ▼脳血管疾患等リハビリ(脳外傷、脳腫瘍<しゅよう>など) 上限百八十日

 ▼運動器リハビリ(四肢の切断・義肢など) 上限百五十日

 ▼呼吸器リハビリ(肺炎など) 上限九十日

 ▼心大血管疾患リハビリ(狭心症など) 上限百五十日

 厚生労働省は上限設定の理由について「長期間にわたって効果が明らかでないリハビリがある」としています。

 これに対し、全国保険医団体連合会は「維持期(長期間)のリハビリの評価をまったくなくすことや、リハビリの提供体制の変更が、徹底した検討もないままに、周知徹底期間すら設けられずに実施されようとしている」(「診療報酬改定に関わる緊急改善要望」)と指摘します。

 「病院から、『全額自己負担になるかもしれない』といわれた」と話すのは岡山・倉敷市在住の男性(49)です。十年前にくも膜下出血を発症。左半身まひになり、現在、多いときで月八回、内科を通じてリハビリに通っています。

 四月からの診療報酬改定では、この男性は「脳血管疾患等リハビリテーション」に区分されます。発症が十年前なので、いまのままだと保険適用外です。そうなるとリハビリ一回につき千五百円の負担。「国会で議論されることなしに、こんなことが決められることに怒りを感じる」と、この男性はいいます。

 厚労省は、長期にわたり継続的にリハビリを行うことが医学的に有効だと認められる場合に限って、保険適用とするといいます。しかし、その詳細は、いまだに明らかにしていません。


 診療報酬 患者が治療を受けたときに、公的医療保険から医療機関に支払われる金額や治療の範囲を定めたもの。二〇〇六年度改定は全体で3・16%と過去最大の引き下げです。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp