2006年3月18日(土)「しんぶん赤旗」

外資からの献金緩和

足並みそろう

見返りほしい財界

お金ほしい自民党


 自民党は、現行の政治資金規正法で禁止されている外資系企業の献金を緩和する改悪案をまとめました。与党の公明党と調整のうえ今国会に提出する考えです。

不当な影響排除

 政治資金規正法は、外国人と外国法人のほか「主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織」の献金を禁止しています。政党や政治家が外国勢力の献金で不当な影響を受けるのを排除するためです。

 総務省の見解では、規制対象となるのは構成員の過半数を外国人・外国法人が占める団体、外資の持ち株比率が50%を超える企業です。五月に御手洗冨士夫社長が日本経団連会長に就任するキヤノンをはじめ、日産自動車やオリックスなどの大企業がこの規制に該当し現在献金していません。

 自民党案は、外資系企業のうち国内に本社がある上場企業を規制の対象外とすることで、外資系企業が献金できるようにするものです。

増加する外資系

 なぜ外資系企業の献金を緩和する動きが出てきたのか。外国投資家による日本株保有は増加傾向にあり、金融・保険分野では外国人持ち株率が三割に達しています。さらに〇七年施行の会社法で外資系企業の日本企業買収が容易になります。

 外資系企業が増えるなかで、企業・団体献金を増やしたい自民党にとって献金規制が障害になっていました。国会でも同党の山本有二議員が「日本の企業活動の実態、グローバル経済市場における実情に合致していないのではないか。改正の必要がある」(二月十四日、衆院予算委員会)と質問で取り上げました。

 企業献金を増やす方針の日本経団連など財界の考えも同様です。

 次期日本経団連会長の御手洗社長は一月二十三日の記者会見で、キヤノン本体は現行で献金していないが、関係会社が経団連の呼び掛けに応じて献金を行っていることを明らかにしました。外資系の献金を禁止する規定について「理論的には矛盾している。資本自由化すれば、また海外投資を政府は奨励しているのでキヤノンのような状況がこれから起こることは当然だ」とのべています。

 献金の見返りを期待し政治への影響力を行使したい財界と、企業献金の増額をめざす自民党が足並みをそろえた結果が今回の規正法改悪です。

あるべき姿と逆

 政党助成金導入時の口実として自民党などは企業・団体献金の禁止を掲げました。ところが、政党本部や支部への企業・団体献金は禁止どころか固定化されています。

 自民党案は献金先を拡大するもので、外国からの政治介入を招く恐れもあります。「あるべき姿からいえば逆の方向ではないか」(高知新聞八日付社説)という意見が出るのは当然です。(古荘智子)


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