2006年3月17日(金)「しんぶん赤旗」

岩国市長が政府要請

艦載機移転は撤回を


 山口県岩国市の井原勝介市長は十六日、米海兵隊岩国基地への空母艦載機移転反対が九割を占めた住民投票の結果を受け、外務省と防衛庁に「これ以上の基地負担には耐えられないという市民の声を重く受けとめてほしい」と、移転計画の撤回を要請しました。

 井原市長は、(1)空母艦載機移転計画の撤回(2)空母艦載機が常駐している厚木基地周辺住民の負担軽減を全国的視野で行う(3)岩国基地の海上自衛隊移転反対――との市の立場を説明し、「米軍再編を拙速に進めるのではなく、地元との協議をつくして必要な見直しをしてほしい」と求めました。

 岩国市が二十日に周辺自治体と合併し、新市に移行するのに伴って井原市長は失職しますが、「住民投票の結果は新市を法的に拘束するものではないが、事実として残る。政治的に、この結果を大切に扱っていきたい」と述べました。

 外務省、防衛庁の担当者は、「米軍再編の『最終報告』は予定通り、三月中に出す方向だ。誠意をもって、地元に理解を求めていきたい」との説明を繰り返しました。


市長「本当は大臣に会いたかった」

 「本当は大臣に会いたかった」。岩国市の井原勝介市長の言葉です。

 岩国市は米空母艦載機の岩国基地への移転計画「撤回」の要請に当たり、外相および防衛庁長官との面会を申し入れていました。しかし、両省庁ともに「国会などがあって対応できない」として、外務省、防衛施設庁は室長、防衛庁にいたっては企画官が対応しました。いずれも、中堅幹部とされる課長より下です。

 岩国市はこれまで、米軍再編に関連して十回近く要請してきましたが、多くは大臣または局長が対応してきました。地元メディアの記者からも、「冷遇だ」との声が口々に出されました。

 対照的だったのが東京都瑞穂町のケースでした。石塚幸右衛門町長が二月十四日、米空軍横田基地への航空自衛隊司令部移転の容認を表明して防衛庁を訪問した際、額賀福志郎長官をはじめ、幹部がずらりと並んで応対しました。

 町長は地元記者団に、「国賓待遇だった」との感想を漏らしました。

 米軍再編計画への「反対」を要請する自治体は、岩国市だけではありません。しかし、今回の異常な冷遇ぶりは、住民投票結果に政府が衝撃を受け、徹底的に無視しようという意図をありありと示しました。(竹)


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