2006年3月14日(火)「しんぶん赤旗」

耐震構造計算プログラム

大臣認定 過信は危険

偽装防止は困難、中止を


 耐震強度偽装に悪用された構造計算プログラムの大臣認定制度は中止を―。十三日に開かれた国土交通省の構造計算書偽装問題緊急調査委員会(座長=巽和夫京都大学名誉教授)で、一九九八年の建築基準法改悪で、建築確認制度の規制緩和の目玉として導入された大臣認定の構造プログラムや制度自体の問題点が明らかになりました。委員からは「確認審査の効率向上を目的に、盲目的に信用することは危険である」との批判や大臣認定制度の廃止を求める意見もでました。


国交省・緊急調査委

 大臣認定の構造計算プログラムは、民間検査機関での建築確認を可能にするために導入された制度。同委員会が今月上旬に、構造計算プログラム開発会社からのヒアリングをおこなった結果、構造計算の信頼性にかかわる問題がつぎつぎと判明しました。

 おもな問題点は、▽大臣認定を受けたプログラムが、その後、不具合を修正した場合、妥当性が審査もされず、信頼性は開発者自身しかチェックしていないこと▽使用者が入力値設定を適切にしないと、不適切なモデルで計算がおこなわれてしまうこと▽出力(PDFファイル)を書き換えるソフトも市販され、電子認証も偽装防止に疑問が多いこと――など。

 委員会では、座長代理の小谷俊介千葉大学教授が「修正が加えられ認定取得とは違ったプログラムが使用されているのが現状である。プログラムで出力する計算結果の偽装防止は困難。大臣認定という特別な資格をあたえて、誤った使われ方をしている」と指摘。野城智也東京大学教授も「(構造計算の)権能を(大臣認定プログラムという)制度上でもたせるのは適切でない」と提起しました。

 和田章東京工業大学教授は、「(大臣認定構造計算の)パソコンソフトをゲーム感覚で用い、確認申請図書のつじつまあわせのために計算しなおしている例がある。大臣認定制度は構造設計士、審査者の盲信の遠因になるため、(制度の)中止」を求めました。

 この問題では、日本共産党の穀田恵二議員が二月二十一日の衆院予算委員会で、構造計算プログラムの大臣認定を廃止するよう求めました。


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