2006年3月13日(月)「しんぶん赤旗」

区切りの「三位一体改革」

吉井衆院議員に聞く(上)

国支出9兆8000億円削減


 二〇〇四年度から本格的に始まった地方税財政の「三位一体の改革」が〇六年度で一応の区切りとなります。地方財政や住民生活にどういう影響をもたらしたのか。日本共産党の吉井英勝衆院議員に聞きました。


 ――「三位一体改革」の全体を振り返るとどういう結果でしたか。

 吉井 三年間の総括は、国庫補助負担金の削減は四兆七千億円(〇三年の先行分を含む)、地方交付税は五兆一千億円の削減となりました。つまり国から地方への財政支出は合計九兆八千億円削減されました。

 一方、国から地方への税源移譲は三兆円です。国の財政対策で自治体と住民に負担が押しつけられる結果になりました。

 しかも後で述べるように税源移譲の実体は二兆円ですから、自治体の削減額は表向き以上です。

 ――新聞などでは「数合わせ」という批判がありますね。

 吉井 その指摘は当たっていると思います。言われるように「政府・与党合意」は一応達成された形にはなっています。しかし、よく見れば、数字合わせというのが実態です。

自民の選挙対策

 例えば国庫補助負担金です。その大半は国と地方公共団体の財政責任を定めた地方財政法第一〇条の「国が進んで経費を負担する必要がある」国庫負担金です。

 こうした国庫負担金が創設されるにはそれなりの理由があるはずです。廃止・縮減を行う場合、どういう経緯でつくられたものなのか、その事務は国か地方かどちらが行うのがふさわしいか、そういったことについて検討するのが当たり前です。

 ところが、そうした検討がなされたという形跡がありません。〇四年度に公立保育園に対する国庫補助を廃止しましたが、同じ基準で運営されながらなぜ私立の方は継続か、自民党の選挙対策ではないかといわれたものです。

 また、義務教育費国庫負担金が削減されました。憲法上国が責任を負うべき生活保護の負担金も削減の俎上(そじょう)にのぼったこともありました。地方団体の反対もあって、さすがにこれはできませんでしたが、引き続き検討の課題になっています。国が責任をもつべきものまで財政負担をできる限り地方にもっていこうという国の姿勢が露骨です。

ヒモつきが2/3も

 ――三兆円の税源移譲を評価する声もありますが。

 吉井 確かに三兆円という数字は小さなものではありません。しかし税源移譲というのは「地方の自由度を増す」ために歳入の質の転換を図るもので、国庫補助負担金から地方税に振り替えることが本来の目的です。

 ところが、税源移譲の対象となった補助負担金は目数で百十七(重複分を除くと九十三)ありますが、補助負担金の全額が税源移譲されて一般財源化されたものは三十五だけです。つまり、税源移譲の目標額はクリアしたが、額の大きな補助負担金に狙いを定めて、その補助率を引き下げることで目標を達成する手法をとりました。そのために、国のヒモのついた国庫補助負担金が税源移譲の対象となりながら、まだ三分の二も残っているという結果になったのです。

 もちろん、その補助負担金で行う仕事が、本来国と地方のどちらがやるべきかの判断は別途されなければなりません。しかし今回のような税源移譲のやり方では、「地方の自由度が増した」などとは到底言えません。

税源移譲2兆円

 また、税源移譲の方法として所得税から三兆円を住民税に移します。所得税として入った税収の32%は地方交付税として地方に配分されることになっています。その地方交付税の対象税目の国税が減りますから、地方交付税も減ることになります。今回の場合、三兆円の所得税が国から地方に税源移譲されることによって、交付税はその32%、約一兆円が必然的に減ることになります。この減額については補てんするという約束がまったくありません。三兆円の税源移譲といいますが、実体は二兆円です。(つづく)


 「三位一体改革」 国が地方自治体に出していた補助負担金を削減してそれとの見返りに国から地方へ税源を移譲する、そして地方交付税の見直しも一体として行うというものです。

 「政府・与党合意」(〇四年十一月二十六日)は〇五、〇六年度予算で国庫補助負担金を三兆円程度廃止・縮減、税源移譲はおおむね三兆円程度、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方税、地方交付税などの一般財源総額の確保を決めました。


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