2006年3月13日(月)「しんぶん赤旗」

岩国住民投票

米艦載機ノー圧倒

有権者の過半数

米軍再編計画に痛撃


 米軍厚木基地(神奈川県)の艦載機部隊を米海兵隊岩国基地に移転することの賛否を問う、山口県岩国市の住民投票は十二日、投開票され、「受け入れに反対」が圧倒的多数となりました。米軍再編をめぐる住民投票は全国で初めてです。


投票率58・68%

 午後十一時現在(開票率95・81)で「反対」は四万二千四百票、「賛成」は五千二百票でした。投票者数四万九千六百八十二人(投票率は58・68%)。反対票が有権者数の半数、四万二千三百三十人を超えました。

 米軍再編をめぐり、日米両国政府は昨年十月、空母艦載機部隊の岩国への移転で合意。市民の間で「これ以上の基地強化は耐えられない」という声が広がっていました。

 市民は、「艦載機受け入れ反対に〇をする会」、「住民投票を成功させる会」、「岩国への空母艦載機とNLP(夜間離着陸訓練)移転反対の市民の会」の三つの団体をつくり、「移転に賛成の人も反対の人も投票に行こう」と、共同の集会も開き、幅広い運動をすすめました。

 一方、「棄権も選択肢のひとつだ」としてボイコットを呼びかける動きもありました。額賀福志郎防衛庁長官や安倍晋三官房長官が、住民投票の結果に関係なく米軍基地再編はすすめると、圧力をかけました。

白紙撤回を

市長、改めて要求

 住民投票の成立を受け井原勝介・岩国市長は十二日夜、移転受け入れが反対多数を占めたことが判明したことを受けて市役所で記者会見し、国に移転計画の白紙撤回を求めていくことを改めて強調しました。

 井原市長は反対が多数を占めたことについて「住民説明会などで訴えたことなどがこうした結果になったのではないか」と話しました。

 今後の方針については「議会と相談した上で、地元の意向を国に届けていく。計画の白紙撤回という方針は変わらない」と明言しました。

 国が住民投票の結果にかかわりなく、計画を進めるとしていることについては「住民の安心安全にかかわることについて国に地元の声を届けることは大きな意味があるし、それが私の責任」「国として適切な判断をしてもらいたいと考えている」などと語りました。

 一方、投票のボイコットを呼びかけてきた桑原敏幸議長は同日夕、住民の意思が示されたにもかかわらず、「住民投票は税金のムダ遣いだったという考えは変わらない」などと発言。しかし、住民投票の結果については「無視できない。真摯(しんし)に受け止めなければならない」と答えました。


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