2006年3月11日(土)「しんぶん赤旗」

シリーズ米軍再編 基地強化どこまで

神奈川・キャンプ座間

戦争の司令塔「百年」継続狙う


地図

 在日米軍再編の日米合意は、米陸軍の新たな戦闘司令部をキャンプ座間(神奈川県座間市、相模原市)に創設する計画を打ち出しています。大野功統・前防衛庁長官は星野勝司・座間市長に「百年の計画」だと説明しています。キャンプ座間は海外“殴り込み”戦争の拠点に変ぼうし、地元自治体や住民に基地負担の苦しみを二十二世紀まで押し付けることになります。(榎本好孝)


先制攻撃態勢を強化

 計画は、米ワシントン州フォートルイスにある米陸軍第一軍団司令部を新しい戦闘司令部(UEX)に改編し、キャンプ座間に移転するというものです。米陸軍は現在、「第二次世界大戦以来、最も大規模」という地球規模の態勢再編を進めています。キャンプ座間に新司令部をつくる計画も、その一環です。

 米陸軍のハーベイ長官とシューメーカー参謀総長が米議会での証言にあたって連名で提出した文書(二月十日付)は、態勢再編の狙いを「現在たたかわれている(イラクなどでの)地球規模の作戦を支え、テロとの戦争に打ち勝つ」ためと強調。新たな司令部や部隊の創設などにより「いっそう致死力が高く、柔軟で、展開力があり、持久性を持った軍隊に変革する」としています。

 つまり、「テロ」を口実にした先制攻撃戦争を地球規模でたたかうための態勢強化です。

 米陸軍の組織は、指揮・管理機構である方面軍や軍団の下に師団(一万―一万八千人)、旅団(三千―五千人)が置かれる構造になっています。

 今回の再編では、師団を中心にした部隊運用を、小回りが利く旅団中心に転換。同時に、個々ばらばらだった旅団の部隊編成を均一化(モジュラー化)し、名称を「旅団戦闘チーム」(BCT)に変更します。

 戦闘の規模などに応じ、自由に組み合わせて投入できるようにし、「遠く離れ、後方支援も限られた戦域へ、速やかに展開し、直ちに作戦に移る遠征作戦」(前出の文書)を行うのが目的です。

4軍統合部隊も指揮

 司令部の再編では、▽方面軍司令部を、太平洋や中東などの地域を管轄する戦域司令部(UEY)▽軍団と師団の司令部を、「旅団戦闘チーム」を束ね(通常で最大六個)、その作戦・戦術を指揮する戦闘司令部(UEX)―にします。キャンプ座間に置かれようとしているのは、この戦闘司令部(UEX)です。

 「旅団戦闘チーム」には三つのタイプ(歩兵、機甲、ストライカー)(注1)があります。

 このうち、とりわけ重視されているのが、「ストライカー旅団戦闘チーム」(最大四千人)です。機動性に優れた最新鋭の戦闘装甲車ストライカー三百両を装備し、輸送機での緊急展開も可能です。すでに編成が進んでおり、イラクに出撃し、罪のない市民多数を殺害している「掃討作戦」を行っています。

 米陸軍は、「旅団戦闘チーム」を全体で四十二個編成(州兵を除く)し、うち六個を「ストライカー旅団戦闘チーム」にする計画です。しかも、六個のうち五個は太平洋地域に配備する計画です(注2)。キャンプ座間に新たな戦闘司令部(UEX)がつくられれば、こうした“殴り込み”部隊を本格的に指揮する拠点になります。

 新戦闘司令部(UEX)は、在日米軍再編の日米合意が「展開可能」な「作戦司令部」と説明しているように、地球規模で出動し、戦争の最前線にも展開します。米陸軍の「二〇〇五年近代化計画」によると、複数の作戦に指揮所をそれぞれ派遣することもできます。

 加えて、日米合意が「統合任務が可能」としているように、陸軍だけでなく、海軍、空軍、海兵隊を含めた米四軍の部隊から成る「統合任務部隊」の司令部にもなり、他国の軍隊が加わる多国籍部隊も指揮します。

陸自海外派兵の拠点

 在日米軍再編の日米合意では、キャンプ座間に陸上自衛隊の「中央即応集団」の司令部を置く計画も打ち出しています。

 「中央即応集団」司令部は、第一空挺(くうてい)団や特殊作戦群など“精強部隊”を束ねるとともに、陸自部隊の海外派兵に関する計画・訓練・指揮を一元的に行います。海外派兵に即応するための「緊急即応連隊」を創設し、傘下に置く計画もあります。

 キャンプ座間に米陸軍の新戦闘司令部(UEX)と陸自の「中央即応集団」司令部を置くことで、両軍が一体になって海外に出動する態勢をつくるのが狙いです。

 「緊急即応連隊」は米陸軍の相模総合補給廠(しょう)(相模原市)に配備する計画だとも報じられてきました。

 座間、相模原両市は、米軍基地が町づくりの大きな障害になっていることから、早期返還を長年にわたり求めてきました。今回の再編計画を許せば「百年先も基地の街のままだ」と猛反発、市をあげて反対運動に取り組んでいます。

 これに対し日米両政府は、計画の受け入れと引き換えに、キャンプ座間や相模総合補給廠の一部返還などを検討しています。しかし、あくまで「一部」の返還であり、キャンプ座間を米軍の“殴り込み”戦争の根拠地にし、恒久化する計画に変わりはありません。


 (注1)「歩兵旅団戦闘チーム」は歩兵中心。「機甲旅団戦闘チーム」は戦車中心。
 (注2)フォートルイスに三個、ハワイに一個、アラスカに一個。残り一個はドイツ。


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