2006年3月5日(日)「しんぶん赤旗」
岩国住民投票 今月12日
米兵の車が追突、後遺障害に
岩国市 中野勝則さん
相談しても門前払い
米海兵隊岩国基地(山口県岩国市)の米兵による交通事故が後を絶ちません(表参照)。岩国基地に所属する米兵の自動車に追突され、後遺障害に苦しんでいる中野勝則さん(36)=岩国市青木町=に聞きました。
私は二〇〇二年十一月二十三日正午前、宮島を望む国道2号、宮浜温泉(広島県廿日市市)付近で、米兵に追突されました。私が警察を呼びました。基地から来るはずの通訳が来ません。意思疎通が不十分で「物損事故」で処理されました。症状が表れ、むち打ち症と診断されて、ようやく「人身事故」に切り替えられました。
米兵は一度謝りに来ました。しかし補償されたのは自動車の修理代と最初の八十日分の治療代だけでした。補償をめぐって相手の保険会社と交渉している時に米兵は雲隠れしていました。
後遺障害は頭痛、吐き気、しびれ、顔面マヒ。ろれつが回らず「ありがとう」の「あ」が言えません。運転中に突然、握力がなくなりハンドルを握れなくなることもありました。
横になると症状が和らぐので寝る時間が長くなり、「なまけ病」と誤解され、病院にも冷遇されました。
三年たった〇五年十一月、岩国防衛施設事務所に相談に行きました。その後、広島防衛施設局が基地に出向いたそうですが、門前払いされました。結局「事故は公務外。当事者同士で示談にして」と言われました。
国の役人が門前払いされる交渉を、どうして一市民ができるのですか。
現在、加害者の保険会社を相手取って訴訟を起こしています。私には夢があります。子どもが好きで、小児科の看護師になりたいのです。病気がありますが、あきらめていません。
基地外にある愛宕山(あたごやま)に米軍住宅をつくる話があります。ぼくらが基地に入れないなら米兵にも基地から出てほしくない。米兵が街にたくさん出るようになれば事故が起こります。私のような体験者を出さないためにも、ぜひ住民投票は成功させてください。
米軍による交通事故件数
年度 | 件数 |
---|---|
1994年 | 62 |
95年 | 58 |
96年 | 64 |
97年 | 56 |
98年 | 71 |
99年 | 61 |
2000年 | 48 |
01年 | 35 |
02年 | 45 |
03年 | 88 |
(岩国警察署調べ)