2006年2月27日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

地産地消


 安全、安心な食を求める声が高まる中で、地域でとれた農産物をその地域で消費する「地産地消」の取り組みが各地で広がっています。鳥取市と、愛知県碧南(へきなん)市の例を紹介します。


地元の米使っておいしい給食

鳥取市

地図
今では週4回

 鳥取市は、小・中学校給食に減農薬、減化学肥料の鳥取市産米をつかっています。子どもたちに「おいしい」と好評で、「ご飯を食べたい」との声にこたえ、週二回だったのから今では週四回の米飯給食を実施しています。残りの月二回はそれぞれめん類とパンで、パン食は米粉パンです。

 日本共産党市議団は、市の農林業振興審議会で「地産地消」をもっと広げるべきだと主張してきました。大谷輝子前県議は、県議会で「地産地消」と米粉パンの普及を求めました。この要求が実り、県が「地産地消」と米粉パンの普及をすすめ、市内の店頭に米粉をつかったさまざまなパンも並んでいます。

 ジャガイモ、ニンジン、タマネギの給食用野菜の計画栽培も始まりました。農家から販路が安定し計画的に取り組めると歓迎されています。

病院にも広げて

 鳥取市は二〇〇四年、周辺八町村を合併し、市の基幹産業として農業振興はさらに重要になっています。「地産地消」の取り組みのため、市は室長一人、スタッフ三人の推進室を設置し、各課と連携してすすめています。

 生産組合をつくり、黒ぼく土と呼ぶ火山灰土からできた肥沃(ひよく)な土でつくったジャガイモを学校給食に提供している気高(けたか)町逢坂地区の中原満教組合長は、「市立病院や保育園、老人施設などにも広げてほしい」と話しています。ジャガイモは機械で掘れば傷がつくため、収穫はすべて手掘りで大変ですが、今年から年二回の収穫をめざし研究に取り組んでいます。

 同時に、生産組合や生産者の多くは、後継者問題の不安や、野菜の腐敗対策として貯蔵施設設置を求めています。

「ふれあい市」も

 生産者が主体となった取り組みとして、市内には三十地区でふれあい市が開かれています。畑でとれたての野菜が持ち込まれ、地名も生産者名も記入されており、顔が見え、安心できると消費者から好評です。顔みしりとなりコミュニティーの一翼を担っています。

 JA鳥取いなばが運営する「愛菜館」には多くの野菜、花、米、卵、みそなどの加工品が並び、朝九時には客が入館し、ほぼ午前中にめぼしい商品が残りわずかとなる盛況ぶりです。

 生産者は、少々形が悪かったり、不ぞろいだったりして市場に出荷できないものでも愛菜館には持ち込め、これらふれあい市の収益は二割も増えています。消費者は「スーパーマーケットなどと比べ、安くて新鮮」と話しています。

 また、ホテルや旅館、レストラン、料理店など百七店が「地産地消」の店として野菜や松葉ガニなどの海の幸の料理を提供しています。(村口英子市議)


産直市、もぎ取り農園… あおいパーク年間百万人

愛知・碧南市

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当初は反対も

 愛知県碧南市は、名古屋市から車で約一時間。農地面積九百五十七ヘクタールの54%が畑地で、ニンジン、タマネギ、サツマイモなど県下一位の生産額となっています。

 一九九八年に建設費十七億六千万円で開所した碧南市農業活性化センター「あおいパーク」は、産直市、もぎ取り農園、オーナー制度など、消費者と生産者を結ぶ拠点として年間百万人を超える人が来園しています。

 建設時は、市議会で「農家への過大投資」と反対派の声もある中で、日本共産党は「地元野菜を買おうと思っても市販されていない。地産地消で農家と消費者が力を合わせ碧南農業の発展を」と論戦を張りました。

 農業委員の下島良一さん(現在日本共産党市議)は、地元農家の「本当にうまくいくのか」との不安に「消費者のニーズはあり展望はある」とはげまし、誘い合って自らもJAが組織した「産直部会」に参加しました。現在二百七十九軒が産直市に出荷しています。産直市の売り上げは年間三億七千万円。多い人は年一千万円以上も売り上げています。

名古屋から来園

 「自分の作った野菜を喜んで買ってくださるお客さんの顔が見えるので張り合いがある。多種多様な野菜を作る努力もしている」と農家の人は言います。「生野菜が甘くて、冷蔵庫に入れてももちがちがう」と碧南市の住民は話し、「ここの野菜は新鮮でおいしく安いので損はない」と遠く名古屋からも来園者があります。

 施設内にはハーブ湯の入浴施設、レストランもあります。イチゴ、ミニトマト、落花生、大根など季節の野菜や果物のもぎ取り、周辺農地を使ってトウモロコシ、ジャガイモ、サツマイモなどのオーナー制度も行っています。無料の市内巡回バス「くるくるバス」で高齢者もたくさん来ます。

 また、学校給食では七小学校、五中学校、五幼稚園分の八千食を二カ所の給食センターで作っており、日本共産党は「センター建て替えにあわせ単独校方式の給食で豊かな地元の農産物を」と住民とともに運動しました。

 残念ながらセンターの建設は強行されましたが、二〇〇四年度から、地元産の米を利用、地元小麦のうどんも試供しています。野菜もJAが納入し、子どもたちには給食だよりで産地を表記しています。(山口はるみ市議)


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